2017年4月30日日曜日

夏シリーズ組み終わりました


5/18を皮切りに9/19まで59人の予定が全部決まりました。これ、組み終わった時点で力尽きた感じです。この一覧表を各部署に配ってすでに夏シリーズが終わったような気分・・・いやいやこれから始まるんですな!実はシリーズというのもかなり有名無実化しつつあるのが本音で、4月も4人のお耳ちゃんがいて、来月は5/9にも入っているので、ほぼお耳ちゃが切れない状態が続いているのですが。この5/9の子は本当は3月にやる予定だったのですが、入院日にインフルエンザで発熱してそのまま退院になっちゃったんですよね~わざわざ宮崎から来て可哀想だったんですが。

皆さんはGWで楽しんでいらっしゃいますか?私はもちろんお仕事ですよ。こういう時しかその他のお仕事片付けられる時間がないので。
日本海・・・北海道は5月の初めはまだ早春の風景です

それはさておき、今日は医学の今後のレベル低下を憂える現状についてちょっとお話しします。

医学の発達は医師のレベルを低下させます。その最たる例が内視鏡治療です。内視鏡により開腹をせずに腫瘍の摘出をできる低侵襲の治療が普及してきました。これにより、患者にとって体の負担も入院期間の負担も大きく軽減できるようになりました。外科医も内視鏡なしには語れない時代になりました。これまで開腹に対する多数の経験を持ち、体と脳に3-Dの身体構造を叩きこんだ医師がこの手技をマスターすれば、これは大きな武器になります。また、開腹を多数経験していれば、内視鏡か?開腹か?という判断が的確に行われるだけでなく、いざというトラブルが起こった時、躊躇なく開腹に踏み切ることができます。しかし、これから医師免許を持つ医師は、内視鏡の技術がメインとなり、開腹手術の経験が減ります。臓器の構造を知識で知っていても、修羅場を潜り抜けていない医師が、実際に臓器を取り扱う機会が少ないわけで、いざという時どれだけ的確に対処できるものかははなはだ疑問です。手術のできない外科医が増えてくるって恐ろしくないですか?だからと言って内視鏡で治療できるものに、是非私は開腹してくださいなどという方がそうそういるわけもなく・・・

 


そして、今の医療指針は、ある程度の医師が一定以上の治療を行えるようになるための教育です。平均点を出せる医者を作ることが目標で、決して突出した医師を育てるものではありません。形成外科も基本診療科の一つになりました。それはそれで多数の施設に形成外科ができ、また形成外科にいけばこういう治療もできる!という啓蒙の効果が大きいことはありがたいことです。しかし、本来形成外科は、その場で判断し、工夫して再建する技術を持った職人のような職種でもあり、ただ医師免許を持っているからといって気軽になれる分野でもないのです。しかし、基本診療科になったことで、専門医のハードルも下げざるを得ないとうのが実情で、形成外科にとっては致命的な問題となりえます。これは耳の治療を考えると納得できますよね。現時点でもまともな耳を作れる医師はごく一部に限られる現状で、一定以上っていったいどこのレベルなのでしょうか?マスクとメガネがかけられるでっぱりを作れるレベルの事でしょうか?

 


それでなくとも少子化により先天性の疾患は数が減っています。それをなんの制約もなくそれぞれ受け入れた施設で治療するシステムは医療のレベル低下を来すのみです。年にせいぜい2,3人の手術をしたところで、その技術が上がろうはずもなく、多数やっている施設とのレベルの差は開いていくばかりです。これを解消するには、より専門性の高い施設に集約していくことが一つの解決策です。がんセンターと同じ発想ですよね。北海道、東北、関東・・・に一つずつ例えば口唇裂口蓋裂治療センター、または耳介再建センター、なんてのが設定されれば、患者が集約されて、よりレベルの高い治療が行われるようになります。

ただ、実際に耳介再建センターとして、現実にどれだけの医師がずっと確保できるものかは何とも言えないでしょうね。耳しか作れない形成外科医が他の施設で使い物になるのかは微妙ですからね。私だってやけどや腫瘍なども含めて形成外科全般をやった上で最終的に耳に特化してきたわけですから。医師教育、診療レベル、患者の利益、これらを全て網羅できる良い方法はなかなか見つからないのが悩ましいところです。

先週函館に行ったとき。残念ながら開花宣言がやっと出たところで桜はほとんど見られず・・・

2017年4月17日月曜日

春の学会 in 大阪







毎年春に行われている日本形成外科学会総会が、先週大阪大学主幹で大阪で行われました。現在形成外科関連でも数多くの学会・・・例えば顎顔面外科学会、熱傷学会、創傷外科学会、手術手技学会、などなど多数の全国規模の学会があるのですが、その中でも最も大きいのがこの学会です。形成外科創立60周年を記念して、なかなかお金のかかった豪華な学会でした。大阪色を強く出した個性的な学会となり、会員懇親会には吉本新喜劇も来てましたし、文化講演と題して桂文珍師匠も来てましたよ。学会はなかなか普段お会いできない先生たちとも情報交換できる良い機会にもなり、色々な先生たちとお話できました。ただ、学会と言えば重鎮の先生たちがたくさんいて、私なんぞ下っ端の若造と思ってきましたが、ふと気づくと私も十分年配の一人と化しているような・・・もちろん重鎮とは程遠いですが。
 
中の島の学会場付近の橋から見た夕暮れ時の風景
今回会場が中の島の国際会議場だったので、淀屋橋駅近くの宿にしたのですが、行ってみたら官庁街で、周囲は居酒屋も少なく、ちょっと選択ミスでした。いつもは学会前に散策をするのをささやかな楽しみにしているのですが、そこからだとあまり行くところもなく、大阪城と、真田幸村の作った出城の真田丸があったとされる三光神社に行って、大阪城までの抜け穴?とされるところを見てきたくらいです。
 
三光神社の真田の抜け穴とされるところ
さて、この学会では私の施設からは、耳の演題を4題、その他シンポジウムと眼瞼の演題を発表してきました。発表演題、多く出しても準備が大変なだけなので、いつもはせいぜい耳のセッションには2題位出すだけなのですが、最近耳の演題が減って来たので少し勢いをつけようかと頑張って4題出したところ・・・これが結構衝撃的で、耳のセッションは一つで演題は6題のみ!つまり他の施設からは2題しか出なかったという現実!これはかなりまずいですよ。そろそろ本気で耳再建の復興に取り掛からねば・・・
大阪城・・・実は鉄筋でできているっていうのがちょっと寂しいです。
できることなら秀吉が建てたお城が見たいですね~
 
学会も終わって、これから大至急夏シリーズの方たちに日程のご連絡をしないといけません。5,6月手術を組む方にはすでに学会前に慌ててご連絡をしたのですが、これから79月に手術を予定する方たちに随時メールが行きますので。人数が多いので、少々全員にご連絡が行くのに時間が必要かもしれませんが、そろそろメールに注意していてくださいね。連絡が行ったら必ず早急に返事ください。連絡が付いたかどうかはっきりしないとそこから進まなくなってしまいますので。