2018年12月25日火曜日

アジア巡業



 今年はとにかく私は当たり年で、久しぶりに研究予算として文科省の科研費が当たったのを皮切りに、講演依頼、学会のシンポジウムの依頼、教科書編集の依頼などなど、いろんな仕事が舞い込んできました。その中でも11月からのアジア巡業シリーズはきつかったです。人生史上一番忙しかったかもしれないです。
11/29-12/1のインドの国際熱傷学会に行くことは前から決まっていたのですが、日本形成外科学会から、台湾形成外科学会で講演をするよう要請があり、インドの日程と重なっているということでお断りしたところ、ではその代わりに韓国形成外科学会に行ってほしいとのことで、11/9-11と韓国に講演に行きました。さらに新たに12/1-3のアジア国際顎顔面外科学会から招へいがあったのですが、この講演日が12/1となっていて、やはりインドと重なっていたので、その旨お断りしたところ、12/3に講演日を変更すると言われてしまったのでそれ以上は断れず・・・
結局どういうスケジュールになったかというと、11/28にインドに向かい、12/1に講演。同日夜の飛行機で翌12/2に羽田着(インドから韓国直行便で行くと旅費が莫大になってしまうので、日本経由で韓国に向かうことになりました)。そのまま羽田から韓国へ。翌12/3に講演後すぐ空港に向かい、同日深夜に羽田着。韓国は1泊のみという国内学会以下の日程でした。羽田で一泊して(3時間しか寝る時間なかったです)、朝一の飛行機で札幌へ。まっすぐ病院に向かい、10時から外来開始。午後もしっかり3人の新患の診察をして、病棟処置、教室カンファ、とやりましたが、さすがにカンファの時は半分意識飛んでました。海外にいる間も返せるメールの返事は返していたのですが、病院を数日開けると大学や学会の仕事が大量に溜まってしまうので、その処理に今までかかってました。

インドと言えばカレーですよね。ということで一回だけ本場のカレーを食べてきました。

カレーレストランの入り口に、いかにも!という方がいたので写真を撮らせていただきました。

インドの土産を喜ぶ人はいなそうなので、自分用に象の守り神を購入。


 そして、このアジア巡業の3講演、勿論英語ですが、実は私史上初の、原稿なしでやりました!まあ日常英会話は全然だめなのですが、専門に関する英語はさすがに多少わかりますし、形成外科の発表はスライドを見ていると説明がへたでも何となくわかりますからね。で、結果何とかなったのですが、やはり上手下手、というよりも、やってみてわかった一番の価値は、説得力が増す、という点にありました。私は国内の発表でも昨年まではずっと原稿を作って読む形で発表をしていたのですが、今年に入ってから、一念発起、すべて原稿なしに転換してみたところ、発表が語り口調になるので、聞いている人により伝わりやすいということに気づきました。これは英語においても同じで、会場の人たちに対して、ただ話すのではなく伝えようとすることが大事だと、医師生活30年にしてようやく悟ったわけです。もちろん与えられた時間内に終わらないといけないので、結構練習が必要です。今回もせっかくの海外にもかかわらず、ほぼホテルに籠って練習していた感じでしたけどね。そしてもう一点、自分の言葉で発表すると、質問が来ても言葉が出てきやすいという利点もありました。普段話す機会がないと、知っている言葉も口からなかなか出て来ないですからね。まあ質問自体がよくわからずpardon?連発でしたが。目下の目標はアメリカで原稿なしで発表すること。アジアの学会は英語が得意でない医師も多いので、へたくそな英語でも許してくれますが、アメリカだと許してくれないですからね~・・・
ちなみに11/22-23には第2回耳介再建研究会を開催しました。昨年お越しになった先生たちに加え、新たに10人以上の医師の参加があり、非常に活気ある学会になりました。地道に続けることで、日本全体の耳介再建の実力がアップしていくと思っております。内容は研究会のHPにアップしていますので、是非ご覧ください。




2018年10月27日土曜日

人工中耳について ー追加ー


 その後確認をした内容を追記します。人工中耳(VSB)は現在両側難聴の方にはすでに保険適応になっており、手術も結構行われていますが、片側の方では保険適応になっていません。そこで今後の保険適応を目指し、信州大学の耳鼻科教授が臨床研究として申請し、協力施設として国際医療福祉大と共同で数人程度(各施設で2,3人程度)の治験を行うということだそうです。治験は自己負担はあまりかからないのですが、人数に達すると終了となります。機器の準備と予算的な問題がクリアできれば多少の人数オーバーは可能かもしれないとはおっしゃってました。

 信州大の教授は元々人工内耳の実績と技術では国内トップクラスで、現在人工中耳においてもリーダー的な立場の方です。確実性の高い聴力改善としては、外耳道形成よりもBAHAか人工中耳か、という選択になると思いますが、BAHAに比べても術後のトラブルの少なさと音域の広さという点では人工中耳に分があるような印象を持っています。私も知識を深めるため、今月末にメドエル(人工中耳の会社)とお会いして詳細をお聞きしようと思っております。

 厚労省が重い腰をあげて保険適応の認可を下すのはかなり先のことになると思うので、片側の方で積極的に聴力改善を目指したい方にはよいチャンスかと思います。三田病院の方ではすでに1人行っており、候補者もいるようなので、今の時点では信州の方がまだ手術を受けられる可能性が高いかもしれません。信州を受診できる地域の方は、ご一報いただければご紹介します。両側の方は保険適応ですので、治験と関係なく対応いただけると思います。


2018年10月24日水曜日

小耳症に対する聴力の今後の展望


北海道の地震については色々とご心配いただき有難うございました。ただ、その2日後には実は信州に行っていたのです。本当は前日に行く予定だったのですが、地震日にやれなくなった手術を翌日に振り替えでやったので、とんぼ返りの日程に変更せざるを得なくなったのでした。このころ北海道はまだコンビニがほとんど機能していなかったので、帰りに松本市のコンビニで種々買い込んで飛行機に乗りこみました。


信州訪問の目的は聴覚と耳介形成の研究会への出席でした。信州大の耳鼻咽喉科、形成外科の教授、国際医療福祉大の耳鼻咽喉科の教授などが集まって意見交換をしようというものでした。私は形成外科の立場からの小耳症について講演したのですが、耳鼻科医にとって私の話は知らないことが多々あったと思います。耳鼻科は今の耳介形成のレベルをあまり認識できていなかったことがよくわかりました。私も耳鼻科の最近の知見や考え方で知らないことが多々あったので、大いに価値のある会になったと思います。これまでこうやって耳鼻科医と向き合ってしっかり話をする機会が今までなかったことにある意味驚きと反省・・・




今後定期的に集まって、小耳症の子たちに、聴力に関しての具体的な流れをきちんと体系立てて提示できるようにしていこうという話になりました。すぐにそれが纏まるものではないのですが、これはしなければならないことですよね。

小耳症の聴力というと、外耳道形成、鼓室形成の有無についてばかりが取沙汰されますが、今機器の発展はなかなか目覚ましいものがあり、それらを上手に選択していくことが得策ではないかというように思います。

小耳症に対して聴力を得る手段としては、

  1. 骨伝導補聴器(いわゆる従来のカチューシャ型)
  2. 軟骨伝導補聴器(耳かけ式)
  3. 外耳道、鼓室形成(手術により外耳道構造を獲得しようとするもの)
  4. BAHA(手術要)
  5. 人工中耳(手術要)

などがあげられますが、耳鼻科医と話していてわかったことは、実は耳鼻科自体の中でも統一見解が全然ないのですよ。例えば3.をやっている人はそれ押しで勧めてきますし、2.なんかも一大学での開発なので、他の大学ではあまり高い意識でとらえられていないですし。それぞれの施設でそれぞれ力を入れているものを強く推すので、結局どういう状況で何がベストなのか、実ははっきりしていないのです。

また、2. 5.に関しては最近新たに選択肢に加わってきたものですので、各々の利点欠点を含めて公平にジャッジして提示する必要性があります。本来耳鼻科医が主導で考えなければいけないことではあるのですが、耳介形成も前提として、種々の手段のタイミングや治療の流れを作っていくことが必要ですから、我々も大いに参加して意見を入れていかないといけないと思いました。何より我々は企業との直接の利害関係がないので、もっとも患者目線で公平にジャッジできる立場ですからね。


ちなみに、国際医療福祉大学三田病院の岩崎教授、野口教授は今人工中耳に力を入れており、これは音域がかなり良さそうです。欧米ではすでにかなり普及しているようで、今後の主流になってくるような気がします。人工中耳は国内ではこの施設が最も多く手掛けています。小耳症では内耳は通常きちんと形成されているので、内耳まで音を入れてあげることでかなり聞こえるはずです。手術で中耳に直接端子を付けるので、振動の不快感が少なく、音を内耳に伝達しやすいこと、皮膚の上から(耳の後ろ、やや上)磁石で装置を装着するものなのでBAHAのような皮膚トラブルがない、BAHAの年齢制限の15歳以上での手術より低年齢でも可能であることなどが利点です。
欠点としてはBAHAに比べ手術の難易度が高い(彼らはこれまで同様な装置の人工内耳を多数やっているので技術的には問題ないと思います)、我々と連携していない耳鼻科医がやると耳を作る時に迷惑な皮膚切開線ができてしまう、耳を作る前にこれをやると耳を作る時の難易度も増す(これは私の方で何とかします)、強い衝撃があると中耳の端子が外れてしまう可能性、磁石で皮膚に圧迫がかかることなどでしょうか。現在治験を行っているそうで、来年3月までにエントリーすれば、恐らくあまり費用が掛からず治療が受けられるのではないかと思います。私のところを受診された方で、直接話を聞いてみたい、という方がいらっしゃいましたら、紹介状書きますので遠慮なくご連絡いただければと思います。

松本市の保存された街並み

松本城は美しい!








2018年9月18日火曜日

臨床調査ご協力のお願い


厚労省科研費の採択を受け、今後の肋軟骨移植を要する患者の皆様にご協力をお願いできればと思っております。HPWhats new9/3の項に掲載しておりますが、一言で言うと、余った軟骨を私にいただきたいというお願いです。
 
軟骨の移植後の吸収や変形、年齢による違いなどは、明確にはされていません。そこで、このたび弘前大学生化学教室の協力の元、軟骨が含有する成分を生化学的に調査を行うものです。
結果が得られれば、それを臨床に還元していけるのではないか、すなわち、移植軟骨の変化を抑制する手段を得るなど、今後の治療に役立てるのではないかと期待しております。
 
いただきたいものは、軟骨移植時に、耳の形に細工する際生じた削りカスの軟骨、および、耳介挙上術時に胸部に埋入してある軟骨を摘出し、利用しますが、その時に生じた余りの軟骨です。
 
削りくずで、あとは使えずに捨てるだけのわずかな軟骨で行える調査ですので、このために余計に採取したりするようなものではなく、一切皆様に不利益を及ぼすようなものではありません。今時は何をするにも同意書なしにはできないので・・・
 
入院時、外来検査時などにお願いをして同意書をいただければと思っておりますので、どうぞご協力のほどお願いいたします。

2018年9月11日火曜日

地震後の病院の現状について


色々とご連絡しなければならない事項が山積しているのですが、まずは今回の地震についてお伝えします。皆様にはたくさんのお見舞いメール、励ましメールをいただき有難うございました。北海道全体としてはまだまだ問題があるのですが、こちらの病院の状況としては、現時点でほぼ正常に機能しておりますので、予定通りの受診や手術の日程でお考えいただいて結構です。

6日(木)のam3過ぎの大きな揺れで目を覚ましたわけですが、札幌中央区では建物の損壊のような大きな被害なく、なんと朝にはジョギングをしている姿まで見かけたくらいです(さすがにこれはあまりにも感覚がマヒしているような気もしますが・・・水のシャワーしか浴びれませんし)。問題は停電が起こったことで、朝すぐ病院に向かいましたが、病棟も明かりは非常電源の最低限のものしかなかったのですが、、入院のみなさんにも大きな動揺はなかったように思います。ただ、手術は中止との連絡が入ったので、福岡の軟骨移植の子と、東京の耳介挙上の子には、可哀想でしたが、今日は手術ができない旨伝えました。まだ余震や被害状況もまだよくわからず、今後の見通しが全く立たないので、来週等に振り替えられるものかもお伝えできず・・・という感じでした。日光で傷を見ながらのガーゼ交換を済ませ、あとは大学の対応待ちという感じで。もはやPCが使えないと何の仕事もできないものですね。午後に病院長からの招集がかかり、今後の見通しのことや、市内の救急病院が機能しなくなったため、我々の病院で2次救急にも対応するなどの報告がありました。私の方からも今日手術予定だった人を、手術ができるようになり次第優先的に組むよう強くお願いしました。夕方には病院は停電が解消され、ほっとした雰囲気に。この時点で手術部長から連絡があり、もし今後大きなトラブルがなければ明日手術をしていいと言っていただきました。この日はまだ札幌も病院近くや主要道路沿いなどの一部でしか電気が戻ってなかったので、初めて見る暗い札幌の街並みでしたが、翌朝位にはかなりの範囲で復旧してきたようです。7日は朝から手術も無事行えましたし、今週は外来も予定通りで行っています。

まだコンビニは品ぞろえが少なく、札幌も清田や元町などで道路被害もあるようなので、完全復旧までは時間がかかるとは思いますが、ニュースではなかなかこちらの病院の状況までは伝わらないと思いますので、現状として、ほぼ正常に機能している旨取り急ぎお伝えします。

2018年8月3日金曜日

新患予約枠のことで


 暑さが続いておりますが、皆様お元気でしょうか。夏シリーズの方達も皆さん順調に傷が落ち着き退院されております。大きなトラブルなくここまで来たので、今後の後半戦も何とか最後まで無事終われますよう念じながら日々過ごしております。今週からは外来も大混雑になっており、しかも北海道もまれにみる高温の日々が続いており、色々な意味で暑い夏!となっております。と言っても今日は30度を下回ったので、ぼちぼち夏も終わりに近づいているのかも・・・夏大好きな私としてはこれはこれで悲しいです。

 

 今日はちょっとHPの新患予約のことで・・・

来年の新患予約枠ももうほぼ売り切れてしまいました。これはこれでとてもありがたいことなのですが・・・そして本来であればもう再来年の予約枠を提示しないといけないところなのですが、今の時期に出してしまうと来年と混同して受診されてしまう方も出てきそうで、何となく出すに出せないでおります。ぼちぼち提示せねばとは思っていますが。
小学生以降の方の場合はどこかに時間を捻出してみますので、予約枠は無視して、とりあえず受診希望のメールをいただければと思います。

2018年7月11日水曜日

もうすぐ近畿大外来告知!


今年も近大外来開催します。期日は9/28(金)と9/29(土)amです。来週か再来週にHPに申し込みの記載内容をアップしますので、ご希望の方はそれを確認の上ご連絡ください。メール到着順に予約を入れていきますが、かなり毎年混みあっているので、ご希望通りの日時とはならないかもしれませんが、ご容赦ください。

毎年お伝えしていますが、これは術後の経過観察の方のみが対象です。その方達だけで時間も精一杯のため、新患の方の診察はお断りしております。ご理解いただければと思います。

術後の方に関しては、小学5,6年生で手術をした方の場合前年度お越しの方は、今年の受診に関して確認をしていると思いますが、わからなくなった方は、大まかに、中1、中2、高1、大1、大4 位での受診が大まかな目安となります。

 

大雨で各地に被害が起こりましたが、皆さんの方では被害は大丈夫だったでしょうか。4月から1年間愛媛大学から国内留学でこちらの大学に来ている先生がいるのですが、その先生の実家は床上浸水になったそうです。また、本来梅雨がないと言われている北海道ですが、ここしばらく当たり前のように雨模様の陰気な天気が続いています。北海道はたまに夏が来ないまま秋になってしまうという恐ろしい気候の年があるのですが、そうならないよう念じている今日この頃です。

 

写真は札幌から小樽に抜ける高速道路を通る時に見る景色です。トンネルのすぐ上に家・・・これってなかなかの情景だと思いません?地震のことを考えるとあまりここには住みたくないような気もしますが、住んでみると景色は良いのかもしれません。

2018年6月25日月曜日

医学生の家庭教師


夏シリーズも常時12人前後の入院の飽和状態が続いていて病棟は非常に賑やかです。ネット軍団がぞろぞろと病院内を徘徊するのももうここの病院の風物詩とも言える光景でしょうね。今年から麻酔科医が硬膜外ブロックを併用してくれるようになったことから、術後の軟骨採取部位の痛みはかなり軽減していて、ほぼ全員翌日から歩いています。術後2,3日も経つともう他の子と普通に遊ぶようになります。しかし、とにかくゲームばかりであまり勉強しないのが悩みの種。


話が変わって、実は札幌医大には私が手術した小耳症チルドレンが3人います。1人はもう3年生。他の2人は今年入った1年生です。なかなか皆さん優秀ですよね。すでに何度かご飯に連れて行っているのですが(まだ2人は未成年なので、勿論彼らはノンアルコールです)、やはり彼らの意識は高く、自分たちも学生ながら、何か役に立つことがしたい、と非常に積極的な気持ちでいてくれます。


ここで先の話に戻るのですが、彼らに時間がある時、入院の子供たちに勉強を教えに来てもらうことになりました。先週からスタートしたのですが、週1回土曜日に11.5時間程度、カンファレンス室に子供たちを集めて、わからないところを聞いてもらったりしています。何より一定時間きちんと自主勉強をする時間を作ることが大事なので、その時間のお目付け役という感じでしょうか。有難いことです。他に木曜午後に週1回家庭教師の先生がボランティアで来てくれています。当然お母さんたちからはウエルカムですが、本人たちにとっては有難迷惑でしょうね・・・


私はと言えば、先週末は弘前でかなりハードな日々を過ごしてきました。金曜日の午前は学生への講義、午後は手術、土曜日は朝から晩まで北日本形成外科学会に出席、という感じで詰め込みすぎましたよ。こうなると連日飲み会になりますしね。

今週は琉球大の先生が手術見学に来る予定です。札幌の気温が現在やたら低いので、32度の沖縄から、17度の札幌へ、空港を降りてびびるでしょうね~。


自転車のタイヤに
蜂が小さな巣を作ってました
威嚇している感じが妙に可愛く見えます


早春の岩木山
この時期が一番山がきれいな時期です



青森の定番ラーメン 煮干しだし、細ちぢれ麺
飲んだ後の締めの一杯!

2018年5月24日木曜日

夏シリーズ始まりました


 先週は熱傷学会のシンポジウムで講演のため東京に行ってました。発表の内容は、やけどで変形した耳の治療についてでした。やけどの受傷直後だとまだ耳の軟骨は痛んでいないので(深いやけどだと、時間が経つと皮膚が崩れてきて軟骨も痛んできます)、早期に耳を切断し、痛んだ皮膚を取り除いて軟骨だけにして、胸の皮下に埋め込み、後日肋軟骨と、埋め込んだ耳の軟骨を組み合わせて耳を作るという世界初の画期的な?手術の結果を供覧するインパクトの高い報告だったのですが、画期的過ぎてみなさんドン引きしていたような・・・
 それにしても東京はすでに暑くて湿気も高かったなあ~・・・今回会場は東京駅のすぐ近くだったので、私も始めて東京駅近くのホテルに泊まったのですが、地下に入ると迷ってしまってなかなか会場に到達できなくて苦労しました。地上を歩いた方がよほど早く着けるような気がします。私の学会での楽しみが夜の一人飲みと朝の散歩なのは毎回書いているのでご存知と思いますが、ちょうど朝から天気も良く、皇居の近くだったので、その近辺をずっと散歩してました。ついでに隙間を見つけて谷中の方もぶらついてきました。東京とは言え、あそこら辺はまた別世界ですね。


皇居とビル群の対比が鮮やかでした

湖面に映ると眼鏡橋になります

前から行きたかった念願の将門塚
朝から多くの方が花を供えに来てました




入る前からすでに独特の鄙びた感があります


こんな路地がたくさんあるのが魅力です


一方札幌に戻ってきたら逆に寒くて悲しい感じで・・・でも早朝にジョギングして円山公園を抜けるときに、りすが走り回っていて可愛かったですよ。人に慣れているのでしょうね。呼ぶと結構近寄ってきました。

こっちを意識して耳を立てています
呼ぶと結構足元近くまで寄ってきます
  
 今週は東京大学形成外科の岡崎教授に来ていただき、学生に顔面神経麻痺と頭頚部再建の講義をしていただきました。教授と一言で言ってもピンキリで、実力のある人もいますしない人もいます。態度の謙虚な人も横柄な人もいます。まあたいがい横柄な人って実力もない気がしますが。発表を聞いていると、ちゃんとやっている人なのか、上っ面の人なのかはすぐわかりますので、私はちゃんとやっている人としかお話ししない(したくない)んですよね。そんなわけで学会内に友人は非常に少ないわけですが、その友人の一人が岡崎教授です。私とタイプは正反対(頭のデキも勿論違いますが)で、専門分野も全然違うのですが、非常にまじめに臨床に取り組んでいて、信頼できる先生なんですよね。なぜかウマが合うので、去年から年に1回講義に来ていただくことにしてます。私自身もすでに何回か学生講義をやって、残すところはあと二回。メインイベントの先天性疾患の講義が待っていますので、その準備にも時間を取られてました。
 そんなこんなで今月もまたバタバタしてましたが、今週からいよいよ夏シリーズも始まりました。今の時期はまだ人数が少ないので病棟もまだ静かで処置も時間がかからず楽なのですが、これから一気に増えてきて、病棟もにぎやかになっていくことと思いますよ。

2018年5月1日火曜日

春シリーズ終了・・・


冬から春シリーズと全く切れずに続いていたお耳ちゃんがついに先週で全員が退院し、一瞬お耳ちゃんが病棟からいなくなりました(大人はいますが)。そして来週早々からは夏シリーズが始まります。福岡の学会の報告も兼ねて早くにブログをアップしようという気持ちだけはあったのですが、なんだかとにかく忙しいのです。今年は当たり年とでも言うのか、まずは文科省に申請していた研究助成金が当たり、当たったはいいものの、そのための書類やら手続きやらが大変!で今月から学生講義が始まったのですが、内容を一新したのでその準備が大変!さらに5月の熱傷学会と10月の顎顔面外科学会のシンポジウムでの講演依頼があり、9月には信州に講演に行くことなども一気に決まりました。さらに11月末にインドの国際熱傷学会に出る予定なのですが、同じ日程に台湾形成外科学会から講演の依頼が来てしまい、これは丁重にお断りしたところ、11月初旬の韓国の形成外科学会での講演の話が来てしまい、これはさすがに断れず。また、形成外科学会の主導で全7巻の教科書を作っているのですが、4巻の先天異常の教科書の編集者になってしまったので、これで今年1年間は間違いなく忙殺されそうです。大学の委員会の仕事も形成外科学会の委員会の仕事も色々抱えていて、もう何からどう手をつけていいのやら・・・という感じです。日々夜中まで病院に残って頑張ってはいるのですが、全く先が見えてきそうにないのですよ。もうどうしましょ!

そうそう、せっかくなので福岡の学会の話を。特別なトピックスはなかったのですが、今回は小耳症の耳介再建後のトラブルまたは不満足な結果に対するリカバリーというテーマのシンポジウムがあり、私が座長で、数人の発表の司会をしました。皆さん痛い経験は必ずあるのですが、その結果や対策なども含めて普段なかなか聞けない話が聞けて意味のあるシンポジウムでした。私は別の耳のセッションで発表しましたが、今回耳のセッションが全部で11演題といつもより多くのエントリーがあり、嬉しい限りです。最もうち4演題は札幌医大からでしたが。ちなみに、低年齢での手術はだめだとこれまでずっと言い続けてきた甲斐があったか、最近は10歳以下での手術報告は少なくなりました。しかし、エキスパンダーを使って手術をしている施設が日本には未だに根強く残っているんだな~!ということと、とある先生のシンポジウムの耳の発表を見て、汚い耳だな~良くシンポジウムにエントリーできるな~治療を受けたAI県の患者は不幸だな~という素朴な感想。しかしこれは恐らく私だけではなく会場にいたほぼ全員の一致した意見だと思いますが。しかも本人は良い結果と豪語していたので、何も言いようがありませんが・・・


福岡と言えば焼きラーメン
黒鉄のは美味しいです。実は3日連続通いました。
大宰府近くのスタバはお洒落です
学会に貼りだしたポスター
オレンジ色の耳介再建研究会のが一番格好いいと密かに思っている

すでに緑がいっぱいの大宰府








2018年4月9日月曜日

今週の予定

明日より福岡で形成外科学会総会があり、今週一杯はメール等いただいてもあまりお返事ができないと思いますがよろしくお願いいたします(例年なぜか出張になると俄然メールが一杯来るもので・・・)。一応メール内容は見れますので、緊急の内容に関しては返事できるかと思います。


ちなみに今年の夏シリーズ65人に、日程のご連絡をすでにしたつもりですが、万が一私には来ていない!という方がいらっしゃいましたらご連絡ください。入院案内等はすでに前半戦の方達には送りましたが、まだ来ていない方達には、来週準備しますので、しばしお待ちください。


業務連絡でした!

2018年3月8日木曜日

病棟非常事態宣言でした


 先々週から先週にかけて、札幌医大病院全体がインフルエンザの流行で大騒ぎになりました。我々の病棟にも何人か発生したため(幸いお耳患者には出なかったものの)、人の出入りを制限する閉鎖病棟の扱いとなり、いくつかの病棟が同様の状態となったため、多くの方が入院させられない事態になりました。他の患者さんたちは入院延期となる方が続出しましたが、手術患者は優先して入院させるという病院の方針と病棟看護師の必死の調整で、何とかぎりぎり私の患者は入院、手術が回せたものの、他の病棟への入院にならざるを得なくなりました。そうなると処置の道具やスペースが他の病棟にあるわけもなく、かと言って出入り制限があるので我々の病棟処置室に連れてくることができない、ということになるので、傷の管理から手術前後の説明まであっちに行ったりこっちに行ったりと、我々も大変な状況で対応せざるを得ませんでした。今週になってやっと収束し、今日からみな我々の病棟の方に戻ってくることになりました。



 

また、同じ時期になりますが、2週間ほど、Kim Leeという二人の韓国の医学生が勉強に来ていまして、朝から晩まで英語での会話、かなりきつかったです。でも彼らは非常に優秀な成績の学生らしく(学年トップと4番らしいです)、非常に熱心で真面目で、しかも我々の拙い英語を良く理解しようとしてくれたので、英語の苦手なうちの先生たちも、壮絶な英語ながら、なんだかんだ会話をしていて、意外と友好関係が成立してました。うちの女医さん、片言の英語とドラマで覚えた韓国語のちゃんぽんの合わせ技で力づくの会話をしていて、言葉に詰まると、イエ~イ、オーケー、と言って全て乗り切っていたので、こいつすげ~!と我々の方が感心していました。彼らも休みの日には登別の温泉に行ったり、ジンギスカンを食べに行ったりと、かなり楽しんでいたようですし、我々も良い刺激になりました。しかしやはり日本の英語学習、何とかならないですかね~。この時期何人か高校卒業前後の、英単語力が最も強い子たちが何人か入院していたので、会話を勧めてみたのですが、処置室では全員無口でした。これは彼らのせいではなくて、どう考えても日本の教育システムの問題だと思います。


向かって右がLee,左がKim
どちらもかなり優秀でしたよ~!
 そして、先週の北海道の暴風雪!なかなか荒れましたね~!もうさっさと春になって欲しいものです。歩道はいまだアイスバーンのところも多く、冬仕様の靴でない方はかなり悪戦苦闘していることと思いますが、くれぐれも転倒骨折などに至らないよう慎重にお越しください。

私の車は一瞬でこんなことになっていました!

2018年2月20日火曜日

実は沖縄に行ってました






 最近ブログが更新されていないと何人かの方からご指摘をいただいてしまいましたが・・・はい、さぼってました。すでに雪まつりも終わりましたがまだ札幌は真冬ですよ。先々週になってしまいましたが、雪まつりの風景を。祭り期間中あえて人ごみの中に行く気もしないですし、あえて寒い中歩きたくもないので、これは朝のジョギングで通りかかりがてらに撮ったものです。この時期は、入院前に観光を、ということで街に繰り出す場合には、インフルエンザを移される可能性が十分ありますからご注意くださいね。今年も一人インフルエンザで手術が延期になってしまった方がいますしね。残念ながら退院直前の外泊も冬はご遠慮願ってます。ウイルスを持ち込まれてこれから手術の方に移ったりしたら洒落にならないですからね。今はと言えば、冬シリーズから春シリーズへの過渡期の時期なので、そんなにお耳ちゃんは多くないです。子供は4人だけ。代わりに高校生以上の子が4人いるのですが、色々な年代が混ざって一緒になってトランプをしている光景は微笑ましい限りです。






























で、実は先週仕事で那覇に行っておりました!琉球大学の清水教授と一緒にお仕事をする機会があったので。仕事とはいえ雪のない世界は幸せでしたよ。そめいよしのではないものの、桜はすでに散りかけておりました。私の行くタイミングに合わせて研究会も開いてくれたので、これまであまりお話ししたことがなかった沖縄の先生たちとも色々話ができて楽しかったですよ。

琉球大学
やちむん通りで見つけたシーサー

国際通りの夕景


琉球大学は那覇市内からちょっと離れていることもあり、空港からレンタカーを借りて移動しました。従って時間を見つけては国際通りの散歩、ちょっとドライブ、そうきそば、パンケーキと・・・結局観光ばっかしてるじゃね~か、なんて言わないでくださいね。4日間も滞在したのであくまで仕事の隙間に行っただけですから。

     





 

 


そして22度の世界から戻って千歳空港がなんと-11度!33度の温度差は体に、というより精神的にダメージが。でもぼやいてなんていられません。4日も空けてしまったので患者たちが首を長~くして?待ってましたからね。あっという間に現実の世界に引き戻されましたよ。







2018年1月5日金曜日

明けましておめでとうございます


本年も宜しくお願いいたします。お正月はいかがでしたか?皆様はゆっくり過ごせたでしょうか?今年もたくさんの年賀状をいただきましたが、お返事を返せる余力がないので、恐縮ですがこの場を借りてお礼申し上げます。今年は早速昨日が手術始めで、軟骨移植と耳介挙上の2件を行いました。早々からハイペースで頑張っております。

 

ここでテレビの告知を一つ。耳の患者ではないのですが、私の患者のつむぎちゃんという7歳の子が今年110TBSJNNニュースのam11時半~45分頃に、2分半ですが、取り上げられるそうです。アペール症候群と言って、頭蓋骨早期癒合症(頭蓋骨の縫合線が早くに癒合し、頭蓋容積が拡がらなくなるため、脳圧が亢進してしまう疾患です。生後早期に頭の骨を切って骨を大きく移動する手術が必要です)、口蓋裂、両手両足の合指症(全ての指が癒合してしまっているため、指間を作って、骨の変形を修正する手術が必要です)など多岐に渡る問題を解決するため、これまで9回の手術(頭蓋骨の手術以外は私が主治医として治療しています)を受けてきました。昨年こちらの地元のHBCテレビで取り上げられたので、入院中の方や、北海道の方は、ああ!と思うかもしれません。

本人にスポットを当てた内容なので、私自身は出ないか、もし出ても一瞬というものではありますが、機能的にも種々の支障を抱えた先天性疾患でありながら、元気になったり落ち込んだりしながらも、逞しく治療を乗り越えていく様子が魅力的ですので(私は編集内容は観てませんのであくまで推測ですが・・・)、お時間が取れる方はご覧いただければと思います。


昨年末にインパクトある写真を掲載してしまったので、今回載せる良い写真がない!ということで、昨年学生への教室説明会案内用に、うちの先生がいつの間にか適当に作って貼ってあったポスター写真を。この写真って、たぶん飲み会で酔っ払って調子こいて騒いでいるところだと思うのですが。
このポスター、ちょうどつむぎちゃんが入院中に病院に貼ってあったのをたまたま発見して、絶対欲しいと頼まれたので、やむを得ずあげたところ、病室の壁にずっと貼ってあって、それを目にした人がくすっと笑いながら通り過ぎるという何とも都合の悪い代物でした。


何か私の扱いって雑ですよね~・・・
一応教授なんですけどね~・・・