2021年12月27日月曜日

寂しいクリスマス

 

今年はこういう状況なので、入院の子供たちも病室のカーテンを閉めて比較的静かに過ごしています。ネット軍団が病院内を徒党を組んで闊歩したり、デイルームでゲームをして騒いだり、という恒例行事もなかなかさせられない状況が続いています。今年のクリスマスも静かに各病室を訪問してプレゼントを渡すだけ、という寂しいクリスマスでした。はい、と渡してもゲームをやってて視線を挙げずに手だけ出す子、なんてのもいて何とも言えない気分でした。そんな年もあったな~と早く笑えるようになるといいですね。みな傷の方は順調なのが幸いですが。

 

でもプレゼントが整列した姿はなかなか圧巻ですよね!

ところで傷が順調なのが当たり前、と思っている方が多いかもしれませんが、なぜ耳の治療を手掛ける医師が少ないのか?考えてみてください。単に手術が難しいというだけではなく、傷がうまく治らないという皮膚トラブルが多いからなんですよね。ぺらぺらに剥離した薄い皮膚の下に凹凸のある硬い軟骨を入れているわけですから。少ない皮膚に緊張はかかるし圧迫による血行障害も容易に起こります。手術が面白そうだからと、うちでできますよ、と言って手を出してはみたけれど、トラブルを起こして痛い思いをして懲りて止めた、という形成外科医がいるのも良くある話。勝負は術後のきめ細やかな傷の管理にもあるのです。非常に苦労してトラブルが起きないよう予防しているということです。処置もできるだけ自分でやっていますし、土日も処置か仕事かどちらかの繰り返しで休めないですし、身をすり減らしてやっと出ている結果なんですよね。

そもそも人が耳を作るなんて医療自体がなかなか破天荒な概念ですから。そういう手術ですから術後3週間が退院の目安とお伝えしてますが、あくまで目安ですので、3週間後の飛行機を予約するなんてのはかなりのチャレンジャーだと考えていただいた方が良いかと思います。そうなるとこちらのプレッシャーも尋常ではなく、あせると我々の治療方針の判断にも狂いが出かねません。退院後せめて2,3日滞在してから帰宅する位の余裕をもってお越しいただくと助かります・・・

2021年12月12日日曜日

2年ぶりの耳介再建学会開催

11/26,27の二日間、当科主催で耳介再建学会を開催しました。昨年は開催見送りとなってしまったので、二年ぶり、第4回となりました。

この状況ですので、人数は例年よりは少なかったものの、小耳症の治療に情熱を持っている、技術を上げたい、今後取り組みたい、とする先生たちが集合しました。初めての参加の先生も数名いらっしゃいました。内容的にも充実したものとなったと思います。我々も学会で集まることがしばらくなかったので、久しぶりにface to faceで話ができ、参加くださった皆さんも笑顔が多かった印象でした。

今年中には耳介再建学会のHPにアップしようと思いますので、是非、どういう施設の先生が参加しているのか(特に常連の先生は耳に思い入れを持った先生が多いと思いますので)、チェックいただけると良いかと思います。

プログラムとしては、初日午後からは、手術のライブサージャリーで、今年は耳介挙上の方に協力をお願いしました。これは私が執刀し、それをライブ会場に中継で流し、会場から質問等あれば解説するというものです。手術は非常に順調に進みました。軟骨移植にどうしても目を奪われやすい小耳症の手術ですが、耳介挙上にも多数のノウハウがあります。今回実際にやっているところを見たら、今まで思っていたことと違っていたという意見も何人かからいただいたので、耳介挙上の方も定期的にやった方が良いかなと思いました。

翌日午前は症例検討会で、11演題、いずれも非常に厄介だった症例、思ったように経過しなかった症例、これから手術するのにどうすればいいか相談したい症例、など、通常の学会とは趣旨が異なり、やっている医師だからこその濃い議論が続きました。討論時間も通常の学会よりはるかに長く設定しているのですが、それでも予定時間を超過しました。昼は、皆さんの食事の時間に、ランチョンセミナーと称して、私の方で、術後管理の要点と合併症について講演しました。午後は、恒例の人参教室で、2日前に人参をたくさん購入し、1cm程度の厚さに切っておき、2日間影干しをして、やや水分が飛んだものを使用して、耳の軟骨フレーム作りを練習するものです。これも皆さん非常に熱心にやってましたよ。

主催の方はかなり大変なのですが、こういう形で少しずつでも日本の小耳症手術のレベルアップが図れれば、疲れた甲斐があるというものです。

しばらくこの準備に奔走していたので、入院調整等進んでおらず、これからちょっと頑張りたいと思います。

でも、このあとも大学院生の講義、研修医セミナーの講義、看護科の講義、大学院生の学位審査委員、理事の会議などなど結構やることが目白押しなんですよ。



コロナ対策も万全です


参加の先生たちの力作