2022年8月8日月曜日

綱渡り

 入院中の患者の皆様も良く状況がわかっていなかったかもしれないので、先週の状況をご説明 します。 8/3(水)に当科医師の一人が陽性(担当していた患者が陽性だったので、そこからのものと思いますが)と判明(同医師は10日間自宅待機)。私も含め、当科の医師の多くが濃厚接触者の対象となり、自宅待機へ!8/8(月)に検査で陰性が確認できないと仕事を開始できない状況になりました。動ける形成外科の医師はたった3名!ただ、私だけは、遠方患者の手術をできないとなると問題であろうという病院長の判断により、連日検査をして陰性が確認できれば、手術場のみであれば注意して仕事をして構わないと言っていただき、手術をしても良いことになりました。  元々8/4(木)は朝から軟骨移植、耳介挙上術、プチ手術の小耳症フルコースに加え、膣再建という結構大変な手術の4件を行う予定だったので、一日が終わるのが長いだろうな~とは思っていたのですが、結局病棟スタッフ、入院患者全員の結果が出たのが15時。そこから手術が始まるという状況でしたので、1件目の軟骨移植の子の手術が始まったのが16時。耳介挙上が19時、プチは延期にすることで勘弁してもらったのですが、最後の膣再建が終わったのが夜中の1時半というなかなかハードな一日でした。4人しかいないので交代もなくそのメンバーでひたすら手術してました。夜中までの手術は形成外科では良くあることなので、体は通常十分ついていくはずなのですが、何時にスタートになるかわからずずっと待機というのは精神的にきつく、終わったときにはすべての気力と体力を使い果たしてしまいました。状況は患者も同じで、何時に手術が始まるかわからないのでずっと絶飲食で待っていないといけず、本人たちもかなりつらかったであろうと思います。  とりあえず、今日全員の陰性が確認されて無事仕事が再開できたのですが・・・我々も少ない人数でぎりぎりで諸業務を回しているので、複数人が自宅待機となると、残る人たちに大きな負担がかかり(残る人たちは多方面への電話かけまくりでさらに仕事が増えるわけで)、完全にお手上げ状態になってしまいます。  今のコロナは感染力がかなり強いので、いつ何時かかるか全く油断ができません。ここまでずっと手術に穴を空けずに来れましたが、今回のように濃厚接触者になると、手術が2~4名、さらにもし私が陽性になれば10日間の自宅待機となるので、6~8人の手術が飛んでしまうわけです。考えただけで恐ろしいです。私もできる限り気を付けてはおりますが、いつ何時そういう事態が起こらないとも限らないわけで、皆様も無理に入院や受診を強行されないよう改めてお願いいたします。  ちなみに、この週は月曜から1週間筑波大医学部5年の学生(耳っ子です)が見学に来てくれました。この騒動で結局最初の3日間しか参加できず可哀想だったのですが、事前にしっかり勉強もして来てましたし、積極的に参加しよう、手伝おうという気持ちも強かったですし、コミュニケーション能力も高かったですし、非常に頼もしく育ったことに感慨もひとしおでした(あのいがくりぼうずがね~・・・)。卒業してから2年間の初期研修もあり、専門の科に進むまではまだ3年以上ありますので、将来私の元に来てくれるかどうかはわかりませんが(彼は実際に手術を見て、目標にしたいと言ってくれていましたが)、こうやって跡継ぎ候補が出てくるなんて嬉しいことじゃないですか。 すでに初期研修医の1年目が一人、そして彼と同じ5年生がうちの大学に二人いるんですよ。こいつらを一人前の耳介再建医に育てるまでは、頑張って現役を続けたいものです。