2023年12月29日金曜日

改めてインフルエンザにご注意を!&今年もお世話になりました

 先日インフルエンザのことをここに書いたばかりですが、また1人インフルエンザで手術延期になった子が出てしまいました。やむを得ないところがあるのは重々承知していますが、やはり手術前は相当に気を遣って対応ください。一旦延期になると次の枠は何か月も先になりますので。

それと、もう一点ご家族にも注意をお願いしたい事項があります。

中央病院の方で起こったことですが、一人の子が手術から1週間も経ってから突然のインフルエンザ発症!当然病院ではインフルエンザ等にはかなり気を配っていますし、他に入院の人でインフルエンザの方もいないので、どこからもらったかというと・・・お見舞いのお父さんからでした。面会時間等何度も看護師サイドから注意があったそうなのですが、あまり守ってくれず。結局プチ手術は延期で入院も1週間以上長引くことになりました。お子さんの近くにいたい、面倒を見たい、という気持ちは勿論わかりますが、それがマイナスになることもある、ということも認識いただかないといけません。病院側はこういう事態を懸念して面会時間等決めているということをご理解ください。大学でも病室入室の制限を無視して出入りする(または、病院の別の場所で一緒にいたりする)ご両親がいるのですが、万が一同様の事態があると、自分の子供だけでなく他のお子さん、または同病棟の高齢の患者等にも大きな被害をもたらす可能性がある、ということを考えて行動ください。症状がなくとも感染源となっている可能性もあるのですから。コロナもまた増えて来てますよ。 

さて、病院は昨日が仕事納めの日となりました。と言っても今日以降も手術と外来がないだけで、日常業務は続きますが・・・。今年は大学と中央病院を合わせ、小耳症手術199(小手術等合わせると298)!病院改築に伴い減らされているベッド数の中で、良くこれだけクリアできたなと思います。

連日の4時間程度かかる軟骨移植と、2時間半くらいの耳介挙上術、通常の外来、水曜午後に1時間程度かけて行う新患診察が今年は174人、入院調整、日々の処置、学生講義、学会発表や講演、論文や教科書執筆、学会の委員会や教授職の仕事、人工耳介の研究・・・時間がいくらあっても足りません。本年も何とか職務を全うでき、ほっとしていますが、さすがにちょっとグロッキーになってます。まあこの頑丈な体を生んでくれた両親に感謝しないと、ですね。不備不満等も多々あったことと思いますが、精一杯やっておりますので、ご理解のほどお願いします。

では良いお年を!

2023年12月27日水曜日

クリスマス会

 

この何年か、クリスマス時期に入院している子たちにも、ベッドサイドにプレゼントを配りに行くくらいしかしていなかったので、あまり大掛かりにならない程度で何かイベントをしようと思い、22日にゲーム会をしました。日頃私も時間に追われ、あまりそういうことをする余裕がなかったですしね。今は入院期間を短縮して通院対応にしていること、また高校生は恥ずかしくて参加NG、地方局のSTVのカメラが入ったので、撮影に写りこむのはNG、などの子がおり、参加人数は少なめです。ただ前日軟骨移植の手術だった子も気合いで参加してくれました。なお、サンタ服老朽化につき、今年のサンタは不在となりました。

今回入院中の子は大騒ぎするタイプの子がおらず、カメラの前で少々子供たちも緊張していたこともあり、比較的静かではあったのですが、やはり時折うるさかったかもしれません。あとで苦情が来ないといいのですが・・・

勝ってもご褒美はなく、負けたら罰ゲームしかない!というゲーム会でしたが、それなりには喜んでもらえたかなと思います。本当は当科の医師の中に1人かなりの腕前のマジシャンがいて、自分の出番だとばかりに準備をしていたようなのですが、なんと風邪でリタイアということで、そちらの企画はあっさりとお流れになりました。

以前のように全開でクリスマス、とまでは行かないまでも、やれる範囲で少しずつ解禁にしていきたいなと思っています。

2023年12月22日金曜日

日本耳介再建学会報告

 

先月行った日本耳介再建学会の報告です。この前に報告した日本耳科学会は耳鼻科の学会で、この学会は私が毎年主催している形成外科医の学会です。今年は11/24,25に行ないました。学会HPに実際の内容の詳細が記載されていますので、そちらを見た方がよりわかるかとは思いますが。

 

初日はライブサージャリーで、小耳症の中では最も難しいタイプの一つの生え際の低い小耳症の手術を行いました。しかし、そもそも小耳症手術自体数多くやっている先生は少ないので、このタイプとなるとますます経験も少なく、見ても大変そうだなあ・・・というところで終わってしまったかもしれません。ちなみに耳会と言えばすっかり雪が恒例となってしまっているのですが、前日までは非常に穏やかないい気候だったのに、今年は初日ライブサージャリーを終えて会場に向かおうとしたらわさわさと雪が降っており、皆さん頭に雪帽子をかぶっての移動となってしまいました。幸い皆さん次の日も元気にお越しになったので(飲み過ぎで体調不良だった先生に関しては大目に見てあげるとして)良かったのですが。

 翌日の症例検討会も結構難しい症例の相談が多く、ちょっとコアな内容だったかもしれません。ただ、人参を使って肋軟骨フレームを作製する練習に関しては、年々レベルが上がってきていまして、耳のプロポーションも立体感も、かなり皆さんイメージが掴めているような印象でした。本会を継続して行ってきた甲斐があったと実感します。勿論軟骨と人参は違うのですが、小耳症の手術の中で特に難しいところが2点あり、一つは皮膚の剥離や利用の仕方、もう一つが肋軟骨フレームの作製です。後者において大事なのはいかにこのプロポーションと立体感のイメージを身に着けられるかどうかなのです。

先日紹介したように、ウクライナのオレクと台湾もアンリも駆けつけてくれて、なかなか国際色豊かな学会となりました。恒例のメンバーに加え、新しい参加者も増えたので、お互いにコミュニケーションをとるのにちょうど良い規模かなと思っています。学会代行会社等に依頼していない手作りの学会なので、あまり参加者が増えると厳しいんですよね。

 また来年も色々知恵を絞って大いに勉強して楽しんでいただけるような会を目指したいと思っております。

 今年の札幌は、一度どかっと降った雪は解けて、今のところ雪は少ないのですが、氷点下の気温が続いており、路面がスケート場のような状態になっています。札幌にお越しの方はしっかりした冬靴にして、歩く際も十分に注意をお願いします。こういう道路の歩き方にはこつがあるのですが、それでも傾斜が付いたところなどはいかんともしがたいことがあり、私も一冬に1,2度は転倒します。

2023年12月10日日曜日

日本耳科学会報告

 先月の話になりますが、高崎で行われた日本耳科学会という、耳鼻科医の学会のシンポジウムに呼んでいただき、発表してきました。タイトルは“先天性外耳道閉鎖症・小耳症に対する治療戦略について”というもので、勿論私以外は全員耳鼻科医師ですが、司会は国際医療福祉大 岩崎教授、札幌医科大 高野教授が担当されました。

演者とタイトルは

・山形大 伊藤先生:外耳奇形・中耳奇形に対する耳鼻咽喉科・形成外科合同手術

・慶応義塾大 西山先生:小耳症への非侵襲的かつ審美的同時改善の試み

・国際医療福祉大 高橋先生:人工聴覚

・私:小耳症に対する聴覚補助機器の使用を考慮した耳介再建 -形成外科医の立場からー

というものでした。学会前にすでにWeb会議でディスカッションをしたのですが、私としては日ごろ耳鼻科医に対し思っていることを、普段お話しする機会のない方々にぶつけることができる良い機会になったと思っております。やはり直接の意見交換は貴重なものであったと感じました。

例えば西山先生から、形成外科では良い耳介が形成できていないので、義耳と軟骨伝導補聴器を組み合わせた治療を推進している、という趣旨の発表がありました。義耳に補聴器を付けても音が伝わらないため工夫が必要になるということも、言われてみると確かにそうだ、ということも理解しました。しかし、私の立場からは真っ向反対の意見であり、現在耳介再建は、技術のある医師が行うと、普通の耳と見分けがつかない耳が形成できることを認識していただかないといけません。種々の討論により、耳介の形成時に影響のない(皮膚炎等生じた場合にはすぐ中止するなど)使い方を検討する旨の意見をいただき、また私の方でも耳介を形成するまでの幼少期の期間に行なう手段の一つとしてはありだと認識しました。ただ、私は過去に、教室の他の生徒の前で義耳が取れてしまい、その後不登校になってしまった子(その子はその後耳介形成を行い、高校からは普通に学校生活を送り、優秀な大学に進みました)なども知っていますので、やはり使用には慎重であるべきと思っています。

また、伊藤先生は、耳介挙上時に外耳道形成を行うという発表でした。これは独協医大が行ってきた術式ですが、山形大の形成外科が独協から派遣されてできた経緯から試みたとのことです。常日頃私は外耳道形成は効果がほとんどなく合併症も多いのでお勧めしないと言っておりますので、これに関しても真っ向反対の意見なのですが、一方で、もし耳鼻科医が誰も外耳道形成を行わなくなったら、今後発展する可能性も消える、ということになります。そもそも過去には外耳道形成は全国で行われてきたものの、効果が薄いため多くの耳鼻科医はやめてしまったという経緯ですので、お勧めしないという考え方は変わらないのですが、患者を期待させるような説明ではなく、正確に現状を伝えた上で、それでも希望する、という方に対しては、一つの手段として残っていただくのもありかなと。外耳道形成における問題点もはっきりしていますので、問題点を解消する術式を是非発明いただければと思います。

高橋先生の人工中耳に関しては、すでに私と連携を取って行っていただいていますので、適切な皮膚切開を行っていただく分には問題ありません。他施設でも是非耳介形成の影響のないよう皮膚切開を行っていただけるような啓蒙の機会となればと思います。

私からは、形成外科医も人工中耳や軟骨伝導補聴器など、聴覚補助機器を考慮した耳介の形成が今後は求められるという趣旨での発表を行いましたが、一番の目的は、形成外科医は、見てもわからない耳介を形成できるようになっていることを体感していただくのが主たる目的でしたので、耳鼻科医の印象に多少なりと残っていただければと期待しております。

残念ながら学会写真は掲載NGのようなので、文字だけのご報告となりますがご容赦ください。高崎は、始めて行ったのですが、発表だけしてとんぼ返りだったので、殆ど街の様子がわかりません。お土産屋はひたすら達磨押しで、教室員にお土産を買うのに悩んでしまいました・・・

 

2023年11月30日木曜日

インフルエンザ緊急事態宣言

 今年後半になってすでにインフルエンザで2名、風邪で1名、札幌に来て雪ではしゃいで入院後に発熱が1名、と手術中止が相次いでいます。

実は札幌中央病院の方も、麻酔科医が1名病気で休職された先生が出てしまい、麻酔科医1名でやり繰りしている状態です。そのため金曜の手術が組めず、手術枠が減っており、今は麻酔科の先生の御好意で月曜に直列で2件組むなどしていただいておりますが、思った件数の手術が組めない状況にあります。手術を組まないといけない方が山ほどいらっしゃるので、一旦延期になると次に組めるのは数か月先になると思ってください。ちまたではマスクをしない方が急増しておりますが、手術前はとにかく自己管理を徹底していただきたいと切にお願いいたします。

ちなみに、我が家は、急に入院と言われてもOKです、という方がいらっしゃればご連絡ください。手術枠が急遽空いた時にはご連絡いたします。

 

2023年11月28日火曜日

今年は多くの先生が手術見学にお越しになりました

 コロナ禍の自粛が一段落し、国内からは、仙台医療センター、九州大、弘前大、琉球大、日本医大、山形大、千葉県こども病院など、多くの先生たちが手術の見学にお越しになりました。海外からも3名の方がお越しになりましたが、これがなかなかバラエティ豊かな先生たちだったので少々ご紹介したいと思います。

1)       ウズベキスタン アバズDr 今まで脳外科医だったのですが、日本で勉強後形成外科医になる、ということでお越しになっていました。イスラム教なので、礼拝の時間があったり、一緒に食事に行っても食べられる種類が限られているなど、少々こちらが困惑する場面がありました。また、ちょうどラマダンと言って断食期間にも当たっていたので、本人は慣れているとおっしゃっていましたが、厳しそうだな~という感じでした。帰国後早速小耳症の手術をして、その写真を送ってくるのですが、なかなか壮絶な耳が作られていて・・・患者が納得していないが何が悪いんだ?どうすればいいんだ?とちょいちょいメール連絡がありますが、そりゃそうですよ。形成外科医の中でもトップクラスの難しい手術ですから、昨日まで脳外科の医者だった人がいきなり小耳症の手術をしても結果が出るはずはないわけで。何が悪いと聞かれてもすべてとしか答えようがなく。まあウズベキスタンではこういうことも許されるのかな~という感じです。中東には●●スタンという国がいくつかあり、治安が悪そうな印象が強いのですが、ウズベキスタンは唯一治安が非常に良い国だそうです。旧ロシアだったため、ロシア語がメインで、彼は独学で英語を勉強して留学に来たそうで、その努力や熱意は素晴らしいと思います。

 

2)       ウクライナ オレクDr ご存じ今戦争の真っ最中のウクライナからお越しになりました。戦争後遺症で耳の受傷も多いので、ということなのですが、彼に見せていただいた写真では、もうそういうレベルの外傷ではないので、小耳症の手術を見ても果たして役立つのかな??という疑問が。足が無くなったり、腕が無くなったり、腹に穴が開いていたり、というレベルの外傷だったので・・・彼はその後台湾でマイクロサージャリーのトレーニング中です。耳介再建学会についても後日ここで書きたいと思っていますが、週末に行なわれた本会にも台湾から駆けつけてくれました。やはり色々な施設に行っているのでコミュニケーション能力は非常に高く、良くジョークも言い、すぐに打ち解けていました。ただ、女性に対してはほぼナンパしている感があり、日本人にはまねできないな~と思います。で学会後はまた台湾に戻って行きました。非常にナイスガイでしたが、いったい彼はいつウクライナに帰るんだろう??ただ、帰ったら帰ったで心配で気になりそうです。

3)  台湾 アンリDr 女性の可愛らしいDrです。何年も前からこちらでの長期の手術見学を希望して連絡をいただいていたのですが、コロナ禍で来れずにおり、時々台湾のお菓子を送ってくれたりしてくれていました。今回は学会で日本に来るのを機会に短期で見学にお越しになりましたが、千歳―台北直行便があり、3時間半で来れるそうです。意外と台湾は近いですね。確かに地図で見ると西表島と台湾って天気が良ければ見える距離ですからね。かえって日本国内の方が乗り継ぎを考えると遠い方が多いかもしれません。直行便のある沖縄はまだしも、奄美大島や屋久島から手術にお越しになる方もいらっしゃるのは相当勇気がいることと思います。彼女も今回耳介再建学会に参加してくれましたが、ちょうど札幌は突然の吹雪になったので、大喜びしてました(北海道の人間にとっては全然嬉しくないですが)。これからも時々お越しになるかと思います。もっとも台湾なら私が行きたいくらいですけどね。

2023年11月8日水曜日

ドラフト会議を見て

 



速報プロ野球ドラフト会議、当HPでも紹介しましたが、小耳症の男の子が見事楽天3位で指名されたTBSの番組、見て感動をもらった方も少なくはないのではないでしょうか。私も見ましたが、朴訥とした印象の中に彼の気持ちや意思が良く伝わってきました。我々もこれまで何度かメディアの取材を受けたり番組の協力をしたりという機会があったのですが、メディアの方達の心の持ち方でこちらの対応も変わってきます。やはり対象者に対する強い興味や愛情がなければ、細かな機微は伝えることができませんし、そういう気持ちでできる限りのことを引き出そうと思ってくる方に対しては、こちらも、こういうことができますよ、こういうところなら見せられますよ、という感じで一緒に制作していく意識が持てて、より良いものができていきます。過去に未来シアターに出た際には、製作の方が非常に高い意識でお越しになったので、短期間ではあったものの、お互いに感覚が共有できました。今でも雨のちハレルヤの曲が流れるだけで涙するお母さんたちがいることを聞くと、いかにあの番組が共感をいただいたか伝わってきます。今回の番組も、制作の方達は恐らく相当勉強し、また家族にも受け入れられる熱意で取材しただろうことが伝わってきたので、そういう点で非常にレベルの高い番組であったと感じました。

 

さて、手術をしない選択・・・当然これも立派な選択肢の一つです。耳介を形成するために本手術で肋軟骨を採取するということは、患者にとって負担が一番かかる点です。術後2か月間(慣らしの期間を考えるとさらに1か月程度)の激しい運動禁止は、ぎりぎりで体を使っているアスリートにとっては大きなブレーキとなることでしょう。またその後も耳や胸をかばう動作が入ってしまったりする可能性もありますし。でも小耳症患者が今後の彼の活躍を応援してくれたらきっと彼にとっても大きな励みになるのではないでしょうか。

 

一方で、耳を作るということは、手術をして耳ができた、マスクや眼鏡がかけられた、というだけの事象ではありません。また手術をしないと、耳が見えることに対しナーバスになる、人の目が気になる・・・という意識は一生続くわけですが、手術をすることで、耳が見えても気にしなくなる、という普通の生活ができるようになる点も大きいと思います。本人にとってのコンプレックスから解放され、自分に自信を持ち、より積極的な形で社会生活、社会貢献をしていけるようになる、という点は、目に見えない部分ではあるものの、この仕事をしてきて非常に強く感じます。手術の後、本人や家族から、手術をしてから凄く変わりましたとよく連絡をいただきますし、それが私にとっての活力にもなっています。彼の場合は、体を極限に使って生きていく仕事のために、手術をしないという選択をしたわけですが、手術が怖いから手術しない、という気持ちを、彼の判断に重ねてすげ変えるのは少々違うと思いますので。


一つあの番組の中で気になったことを記載します。医師が、これ以上年齢が上がると手術が難しくなるという点です。私は常々手術の至適年齢は1120歳とお伝えしています。これはこの範囲内であれば、良いクオリティーの耳をプレゼントできるという意味です。ただし、20歳以上の方でも耳を作れないことはないのです。クオリティーが下がり、軟骨の綺麗なカーブが作りにくくなる、ごつごつ感が強くなる、などの傾向があるものの、作れないわけではないということです。私は最高齢74歳の方の手術もしたことがあります。さすがに苦労しましたが。45歳の小耳症の方の術前術後の写真を載せますが、クオリティーが落ちると言ってもぱっと見では気付かれない程度の結果は出せるかと思います(中には軟骨が異常に硬い方もいますので、もっと結果が落ちる場合もあるかと思いますが)。もし20歳を超えて、もう耳は作れないと思っていた方も諦める必要はありませんよ。

 

2023年9月26日火曜日

札幌医大に今後入院の皆様へ

 

現在、当院では病棟の改修工事をしており、形成外科の入院病棟が本年10/14,15に現在の9階北病棟から引っ越しします。今後約1年程度の間、病棟が7階南病棟 および 8階南病棟2つになりますので、小耳症の子供たちも両方の病棟に分かれます。予めご了承ください。

2023年9月25日月曜日

可愛い話

 

当科で手術をした小学5年の男の子。社会の試験で、北海道で有名なものをあげよ、と言う問題が出たところ、答えに四ッ柳先生と書いたんだそうな。

結果は勿論×だったけれども、その後先生に説明をしたら、〇にしてくれたとのことでした。

なんだか微笑ましい話だったので、紹介させていただきました。

残念ながら、私の名前は小耳症の小さなワールドの中でしか知られていないので、かなり無理がありますが、本人が有名だと思ってくれているようなので、私からも〇にしてあげたいですね。

 

さて、札幌中央病院でも着々と手術をしていますが、大学より入院人数は少ないものの、アットホームで皆仲良く過ごしている感があります。病院が新しく綺麗で、スタッフも親切で優しく、非常に好評です。写真はその中央入院組の子供たちからのプレゼント。みんなで仲良く作っているところが目に浮かびますね。


2023年8月3日木曜日

猛暑緊急事態

 

すでに今年手術を受けた方も大勢いらっしゃいますが、術後のトラブルが続いていますので、注意をお願いいたします。

退院後2,3か月以内に手術を行った方で、この2週の間に、耳の軟骨露出、ナイロン糸感染など、何人か緊急でこちらにお越しいただき、処置を行った方がいらっしゃいます。例年、年間を通して23人位はそういう方もいらっしゃるのですが、今年は、この時期になって急に増えた印象です。原因として、今年の異常な猛暑時、野外で、突出した耳が直射日光をまともに浴びると、一体何度になるのか?という位の熱を持つことになってしまいます。傷が完全に安定していない術後半年以内の方の場合、血流が安定していないと、ますます熱を持ってしまいます。

退院した!傷が治った!とすっかり油断して全然気にせずに暮らしていると、こういうことが起こる可能性も念頭に、耳を大事にして、あまり過酷な環境に置かないよう意識していただくようお願いいたします。また、トラブルは早期に発見すれば大事に至らない可能性が高いので、時々耳のチェックもお願いいたします。


2023年6月8日木曜日

10月以降入院患者の方へのお願い

 10月以降入院の方達には、今後随時ご連絡していく予定ですので、本年度手術予定の方はメールのチェックをお願いいたします。まだ連絡がなく不安に思われている方も確認のメールをいただければ状況お伝えします(万が一私の方で抜け落ちている方がいるのではないかと私自身も不安に思っていますので)。

なお、これまでと少々入院日程に関して変更点があります。現在大学病院病床の改築が行われており、それに伴い9月よりベット数が減らされることなります。そのためこれまで通りの入院日数で入院いただくと、手術件数も大幅に減少せざるを得なくなり、入院予定者全員の手術を組めなくなってしまいます。そこで、以下のように対応させていただきます。入院前後は通院となり、各人宿泊の準備が必要となりますので、どうぞご協力のほどお願いいたします。札幌中央病院に関しては今まで通りです。


1.火曜手術の場合

前週金曜  :外来受診(術前検査)9:0013:00→金、土、日の本人の宿泊確保をお願いします!

月曜 :入院(11時まで)

火曜 :手術

術後18日目 :退院

以後3日間:通院処置→通院期間の本人の宿泊確保をお願いします!

 

2.木曜手術の場合

火曜  :外来受診(術前検査)9:0013:00→火の本人の宿泊確保をお願いします!

水曜:入院(11時まで)

木曜:手術

術後18日目 :退院

以後3日間:通院処置→通院期間の本人の宿泊確保をお願いします!

 

 

2023年5月1日月曜日

5月からの面会対応について

 

コロナ対応に関し、大学の対応が少々変わります。まず、1日15分までの面会が可能となりました。またご家族の抗原定量検査等も行わないこととなりました。ただし、まだ多くの制約があるため、実際には付き添いの制約に関してはこれまでとそう大きく変わりません。以下、今後の入院患者に送る内容ですが、あらかじめ周知させていただきます。

面会等の対応について

当院はこれまで全面的に面会禁止としていましたが、115分以内で、デイルーム等での面会のみ(時間制、人数制限ありですが)可能となりました。当科としての対応は基本的にこれまでと大きく変わりませんが、以下をご一読いただき、事前に十分頭に入れて行動いただくようお願いします。

【基本事項】

・面会にお越しになる方は、統一して一人の方のみ(やむを得ず幼少児を連れて来なければならない場合には、その旨看護師にお申し出ください)としてください。入れ代わりで色々な方がお越しになることは原則禁止です。やむを得ない状況が生じた際は看護師にご相談ください。

・入院日より遡って10日以内に、患者・同居家族が、発熱や上気道炎症状、および味覚嗅覚障害のような新型コロナを想起するような諸症状、またそのような症状の方と濃厚接触した場合は、来院せずに、下記にご連絡ください。

・入院当日は必ず熱を測り、37度以上の発熱の場合は来院せずに下記にご連絡ください。

(上記は、一度帰宅して再来院する際も同様です)

・デイルーム、処置室前でのご家族同士の会話はお控えください。

・土日は、病院への来院は必要性がない限りお控えください。

 

*連絡先:札幌医科大学病院 011-611-2111(北9階病棟に回してもらってください)

 

【入院日】

1階入院受付で手続き後、本人ご家族伴に北9階病棟にお越しください。ご家族は荷物搬入等で一時的に病室内に入ることは構いませんが、用が済んだら速やかに退室ください。同日の予定(手術の説明等)に関しては、医師や看護師に確認ください。待機を要する場合は、病室ではなく、デイルームまたはカンファレンスルームにてお願いします。

 

【手術前日】

麻酔科医の診察、説明があります。時間等に関しては看護師と確認ください。

 

【手術当日】

・手術予定時間の2時間程度前に来院ください(朝一番の手術時は8時頃)。病室内で待機可能です。

・手術中は、連絡が取れるようにして近隣で待機いただき、手術終了が予想される時間(看護師から指示があります)になったらデイルームまたはカンファレンスルームにお越しください。

・手術後は、3時間まで病室入室可です。

【手術翌日―手術後3日目まで】

・面会時間内(平日9-20時、土日祝9-20時)で、2時間以内(処置に合わせてお越しになる場合は処置の時間も含めて)の病室入室可です。原則11回です。

 

【手術後4日目以降】

・四ッ柳医師が創処置を行う際に、処置室での立ち会いのみ可能です(処置の時間は、処置室前ホワイトボードに記載してます)。この際、デイルームまたはカンファレンスルームで待機し、呼ばれるのをお待ちください。

・面会は、11回(処置に立ち会う場合は、その時のみ)15分までとしてください。

玄関フロアや売店等でこっそり面会されるのを目にすることがありますが、これも勿論禁止です。

・処置室での立ち合いがない平日の面会を希望する際は、看護師にご相談ください(面会場所と時間に限りがあることから、ご希望に添えない場合があります)。

 

【その他】

・マスク着用、手指の消毒をお願いします。

・病棟内に入る際には検温しますので、必ずナースステーションにお声がけください。

・病棟内に入る場合は、来棟時間、出棟時間の記載が必要です。

・必要なものを患者に渡したい時は、処置時、もしくは看護室窓口でお渡しください。

・入院患者の外泊外出は禁止です。

・判断に迷う場合には、医師または看護師に相談の上行動ください。

・付き添い情報が変わる際は、四ッ柳医師のブログで随時報告いたしますので、確認をお願いします。

2023年4月19日水曜日

本年5月~7月に初診でお越しの予定の方へのお願い

 本年1/19に北海道のSTVという地方局で、小耳症をテーマに放送いただきました。現在2回目の放送に向けて小耳症の取材が続いており、その中で、初診の2,3歳くらいのお子さんの外来の様子の撮影を希望されています。どさんこワイドという情報番組の中で10分程度の特集のため、実際に撮影してもそれがどの程度使われるかわかりません。また、地方局の番組ではありますが、ユーチューブにも流れるため、全国で閲覧が可能になってしまいます。ただ、初診がどういう様子なのか、その後の治療の流れ、など、なかなか言葉では伝わらない部分があり、これから受診を検討される方にとっては、その様子を見れることは、非常に参考になるかと思います。もし今後の方のために役に立てれば、というお気持ちで撮影にご協力いただける方がいましたら、私までご一報いただけないでしょうか?

2023年4月10日月曜日

濵本先生


 


当科で3年間みっちり小耳症の修業を積んだ濵本医師が、この4月より倉敷中央病院に異動されました。月曜、および木曜(各週)の外来を担当するそうです。

現在最も四ッ柳法を理解している先生であると思います。考え方、手技、術後管理等いずれも十分な力を付けたと思いますので、近隣の方は新たな選択肢としてご考慮いただければと思います。

彼とは今後も種々連携しながらいきたいと思っておりますので、近隣の方で、術後の耳のことなどで困ったことがあれば、彼に診察をお願いすることも可能かと思います。ただ、一点誤解をいただかないようにしていただきたいのですが、手術だけは私にしてほしいが、術後は遠いので濵本先生に経過を診て欲しい、という考え方の方は基本的に受けられません。そういう方は初めから濵本先生の手術を受けて、そちらで経過を診ていただいてください。全責任を負って手術をした人間が、その後も責任を持って経過を確認していくことは当たり前のことで、それができない方の手術は受けられませんので、その点はご理解お願いします。

ちなみに岡山大学にはやはり耳の治療に力を入れている妹尾先生もいらっしゃいますので、この地区だけ激戦区になりそうですね。

 

本年度、札幌での手術を希望されている方が、軟骨移植ですでに120人を超えており、耳介挙上術を合わせると、250件程度の手術を行なわないといけない状況です。大学で組める手術が頑張っても180件程度ですので、70件程度は札幌中央病院で行わないといけない状況です。もっとも、札幌中央病院は、病院も新しく綺麗ですし、術後3日目までは個室に入ってご家族が付き添いできるなどの点では大学より快適かもしれません。4月よりついにそちらでの手術も稼働しましたが、スタッフも協力的で、手術も看護師が良く勉強してくれていて、非常にスムーズに行えております。今後入院経験者からも、そちらの病院の経験談等が聞けるようになるといいですね。

2023年3月16日木曜日

3月は何かと忙しいです

 ちょっと間が空いてしまいましたが、3月は年度末のため諸書類が一杯来るので、非常にばたばたとしております。外来も今週からは激混みが続いてますしね。近況ですが、コロナ患者の減少に伴い、ここしばらくキャンセルが生じることなく、順調に手術を行っております。まだ大学では患者の自粛をお願いしているものの、少しずつですが、子供たちの賑やかさも取り戻しつつあるように思います。付き添い等に関しては、まだ大学から指針が出ていないので、現状維持のままです。もし今後変わるような状況があればご報告します。 3月は、久しぶりの患者受診が続き、何年かぶりに会った方達が多数いたのですが、びっくりするほど身長も顔つきも大人になっていたり、大学の合格報告をいただいたり、と嬉しくもあり、頼もしくも感じました。そうそう、東京の両側小耳症の女の子が、岡山大医学部に合格した、という報告もいただきましたよ。 
 
札幌中央病院で来月から手術開始に向けての準備も進んでおります。一点お伝えしておかないといけないことがあり、この病院では育成医療対象の病院となっていないので、申請できません。ただ、育成医療を通さずともほとんどの地域の方は、乳幼児医療助成の対象となっているはずですので、金額的負担はかわらないはずです。役所の方から育成医療を勧められる方もいらっしゃると思いますが、恐らくですが(違っていたら済みません)、乳幼児医療助成(各自治体から)と育成医療(国から)のお金の出所が違うので、自治体側では育成を推してくる、というところではないかと思います。札幌中央病院で手術予定の方は、役所で自己負担に関して確認をいただいておくと良いかと思います。大学は育成医療対応していますが、申請が通るかどうかは役所の判断になりますし、かなり審査も厳しくなってきてますので(基本的には身障者の聴力改善の手術しか通らないという前提になってきています)、育成医療にこだわらずとも良いように思います。 

 今週早々まで2か月間、仙台医療センターの三浦先生(写真下)が耳の治療を勉強されていきました。非常に熱心でまじめで、手術におけるポイント等かなりみっちりと教え込みました。これからの小耳症の手術ではぐっとレベルアップしてくれることと思います。

2023年1月13日金曜日

弘前大外来のお知らせ

本年3/31(金)14:00-16:30に弘前大学にて外来を行います。 対象は弘前大学初診済みの方のみです(新患の方は受付できません)。 受診を希望される方は、弘前大学病院形成外科外来に電話して予約を入れてください。 年内に外来をもう一度行えるかどうかは現時点では未定です。 なお、これまで例年行ってきた近畿大外来についてですが、同大学形成外科教授がこの3月に退官されることに伴い、本年以降は予定をしておりません。期待をされていた方には大変申し訳ないのですが、今後また同様の形で外来を行える環境が作れた場合にはまたご報告いたしますが、現時点では全く決まっておりません。診察のタイミングとなる方は、札幌医大受診の方向でご計画いただければと思います。

2023年1月3日火曜日

本年も宜しくお願いいたします

早いもので、永田先生が亡くなられてから1年経ちました。誰より私に一番その影響が来たように思います。何とか私自身はコロナに罹ることもなく、手術にも穴を空けずにすべての業務をこなして来ました。しかしこれからの1年、4月からは札幌中央病院との2本立てで手術を大幅に増やす状況となり、この年齢になって未知の領域に突入することとなります。人数が増えた分、連絡その他の対応も相当に過酷となることが予想されます。連絡をいただいていたのに取りこぼしをすることへの恐怖感も実はかなりあります。ただし、クオリティーだけは絶対に落とせません。とにかく頑張らないといけないので気を引き締めてまいります。 また、学会理事職は何とかあと少しでお役御免に多分なるかと思うのですが、今年は今後このHPでもいずれご紹介することになると思いますが、近畿大の磯貝教授と共同で研究を行ってきた人工耳介と生体内再生医療のハイブリッド治療という新たな取り組みも佳境を迎えることになります。こっちも相当忙しくなるんだろうなあ・・・ 色々な意味でチャレンジングな1年になるかと思いますが、どうぞ宜しくお願いいたします。