毎年春に、日本形成外科学会総会、という形成外科で最も大きな学会が行われます。これは主に臨床系の学会で、秋には基礎学会という研究系の学会があります。少々ここに出すのが遅くなってしまったのですが、今年は 4/16-18に東京、ホテルニューオータニで開催されました。私は小耳症の演題を2つ、他にうちの施設から2つと、計4つの演題を発表しました。また、今年は山田朗先生(前にトロントの学会で書いた先生です)が、海外招聘講演に招かれ、私はその座長をすることになったので、久しぶりに山田先生ともお会いしました。山田先生も小耳症に特化して治療しているわけではなく、先天性疾患全般の治療をされているようで、大変だなあ~という感じでした。
学会の内容としてトピックスはあまりなかったのですが、顔面移植のセッションは割と面白かったです。まだ日本では行われていない顔面移植・・・要は顔面の大部分を損傷した人に、他人の顔を丸ごと移植する、というもので、しばしばニュースなどでも取り上げられているので、目にした方もいると思います。素人目には、ついに医療もそこまで来たか、と思わせるものですが、腎臓などと違い、拒絶反応の強い他人の皮膚や筋肉などを移植した場合、拒絶反応を抑えるために、相当に強い免疫抑制剤を、移植されている限り続ける必要があり、治療を受けた大部分の人が、腎臓障害、感染、悪性腫瘍の併発、継続的な免疫抑制剤投与に対するストレスによる自殺、など、かなり悲惨な末路を迎えていることまでは知られていないと思います。そこまで踏み込んで報道されることはなく、マスコミの報道がいかに偏っているか良くわかる事例だなと思います。
ちなみに前回メッセージで書いた教科書ですが、この学会で始めて書店に並ぶことになりました。誰も買ってくれないと悲しいところなので、売れ行きが少々気にはなったのですが、私よりも、全日本出版会の社長と本書担当の方が販売ブースからちょっと離れたところで、心配そうに並んで立っていて、あ、本持った!あ、売れた!と盛り上がっていたので笑ってしまいました。おかげさまで、好調な売れ行きで少々安堵した次第です。
宿は近くに取ったのですが、今東京のホテルは値段が高すぎです!かなり探して良心的な額のホテルを見つけたのでまだ良かったのですが、ホテルとの往復はアップダウンが激しくて消耗しました。東京って、意外と坂が多いんですね。そして、私の学会中の唯一の楽しみは朝の散歩です。毎度これを書くと、遊びに行ってるんじゃないかと思われてしまいがちですが、決してそんなことはなく、日中は、学会場で専門医更新のための単位の取得に励んでおりますので。通常知らない街だと散歩もテンション爆上がりなのですが、東京は、散歩には不向きなところなので、あまりテンションがあがりません。だからと言って、していないということでは勿論ないので、初日は国会議事堂、TBS、など赤坂界隈、翌日は皇居を1周(走ってないです。散歩です)、さらに翌日は市谷から新宿方面に向かって住宅街を抜けて、四谷の方に戻る、という感じで、早起きをして1~2時間程度かけてぶらぶらする、という感じです。場所柄的に警備している警官の前を多数通り過ぎましたが、愛想がなさすぎてちょっと良くないなと思いました。愛想を振りまく必要はないのですが、おはようの一言もなく、ただ、じっと見つめてくるのは、過去に職質を何度も受けた立場としては、あまり感じが良くないです。人にもよりますが、札幌でアメリカ領事館前に立っている警官はちゃんとおはようございます、と挨拶してくれます。
そして、ニューオータニと言えば、ホットケーキ!ということで、前からなかなかチャンスがなかったのですが、今回は、ついに念願のホットケーキでランチしました。一人スーツ姿でホットケーキ食べている姿は人にはあまり見せられないですね・・・。味としては、ホットケーキ以上でも以下でもなかった、というところでしょうか。