2019年6月5日水曜日

お久しぶりです・・・


 何だか随分とブログさぼってました・・・というかあまりに忙しくて全然余裕なし!今年は5月に大きな学会が2つあったので結構厳しいスケジュールで駆け回ってました。

 実はもう5/9から夏シリーズ始まっております。10月中旬まで約70人のお耳の手術が組まれています。冬も40人位から申し込みがあり、これを組むと10月末~1月中旬まで、さらに来春はまだ人数未定ですが、耳介挙上が怒涛の勢いで入ると思うので、恐らく1月末~4月初旬まで、と殆どシーズンオフのない状況になっております。

 

 ちなみに、今年は4月から3人の新しい形成外科医が増え、全員男性とややむさい雰囲気が増しているかもしれませんが、みな優秀で優しくてちゃんとした先生たちです。一人は札幌医大出身、もう一人は北大出身の先生ですが、さらにもう一人変わり種の先生がいます。韓国の大学を卒業後、日本の医師国家試験に合格してこちらで働いている白(ベク)先生です。まだ日本に来て1年ちょっとなのですが日本語ペラペラ、英語もペラペラの凄い先生(中国語もできるらしい)なのですが、日本語はさしすせそに難があり、おはようごじゃいます!と挨拶します。これが何だか癒しです。入院したらたぶんその言葉であ!この先生だとわかると思います。

 

 さて、最近嬉しいメールを二ついただいたので、一部抜粋してご紹介させていただきます。

耳介挙上も終えて退院した子の話

先日、息子の学校の先生から嬉しいお言葉をかけられました。

・・・札幌から帰って来てから、人が変わってしまったようで、先生自身も驚いています。授業での発言も増え、私とも以前より会話をする様になり、自分から手術の話や、病院の先生の話を友達にしています。また、自身を好きか?また、その理由を記入、という学校のアンケートに対する回答:自分が大好き

理由:世界で一つだけの大切な耳が出来たから

と書いていたそうです。

 

もう一人の話

退院してすぐ、親子で外を歩いていた時、横断歩道で反対側から何人かの人が歩いてきたのですが、その時に強い向かい風が吹きました。渡り終わった時に、「誰もオレの耳に気が付かなかった‼」とすごく嬉しそうに言いました。

今まで、向かい風なんて何回も吹いただろうに、その度にそんな事を考えて耳を隠してきたのだな…と初めて知りました。

私には、気にしていないと言い続けてきた息子ですが、そんなことはなく、心から先生に手術をしていただいてよかったと思っています。今や、自慢のお耳で(まだおきていませんが)、お友達に見せてと言われなくても見せているようです

 

 手術の是非には色々な考え方がありますし、子供には子供なりの捉え方がありますし、嫌だと思う手術を勧めるつもりも全くありません。ただ手術に踏み切る一歩がその後の何歩もの前進にもつながることもあるんだなと思います。

 

これは今年の学生説明会用のポスターです。今回のはちょっと凝ってますね!


2019年3月26日火曜日

明日の今日ドキに小耳症の子が出ます

北海道にお住まいの方と現在ご入院中の方へ、緊急告知です。

明日3月27日(水)HBC北海道放送 「今日ドキッ!」17時台の特集にて札幌医大で以前小耳症の手術を受けた女性の活躍が放送される予定です!

「夢は絶対あきらめない!耳の障害を乗り越えてファイターズガールに」と題し、北海道日本ハムファイターズのチアリーディングチーム「ファイターズガール」の新メンバーとして活躍される女性に密着取材しています。

なお、緊急のニュースが入りました場合は、放送日時が変更となりますので、予めご了承ください。

2019年3月5日火曜日

夏シリーズの手術をお申込みいただいた皆様へ


日々休み返上で目一杯頑張ってはいるのですが、全然時間が足りなくて・・・ようやくこれから夏シリーズの連絡を入れていこうと思いますので、夏予定の方はそろそろまめにメールをチェックしていてください。また、連絡が来たら早急にご返答をお願いいたします。ただ、人数が多すぎて、全員にご連絡をするには時間がかかりますのであせらずお待ちください。なにせ夏希望の方、現時点で軟骨移植が40人、耳介挙上が30人、計70人の予定ですので・・・一応3月中か、4月初めまでには全員にご連絡を入れるつもりでおります。ちなみに手術枠を確認したところ、5月連休明けにスタートしても、9月一杯では収まりきらず、10月にかかる方も数人出てくることになります。冬シリーズが通常10月末からスタートなのですが、今年は冬も多いので、ほぼ夏シリーズと冬シリーズがドッキングするような感じになってしまいそうです。ぎちぎちに手術を組んでいて、それも初診順、男女、手術内容を加味して日程を決めているので、申し訳ないですが、もう少しあととか、前とか言われても希望はほぼ通らないと覚悟いただくしかなさそうです。

ちなみにこれは2週間前のとある地方の駅の光景。ホームの屋根の雪下ろしをしているところです。でも北海道もここ最近一気に春になってきましたよ。


2019年1月1日火曜日

謹賀新年





このポスターは昨年うちの先生が当科の学生説明会様に作成したものを改変したものです。なかなかのクオリティーでしょ⁉

さて、昨年はついに小耳症関連の手術が190件を突破しまして、このままいくと近い将来に大学の手術枠自体が不足する可能性も・・・

新患予約枠もどんどんなくなってしまってしまい、無理やり色々な隙間に時間を作って詰め込んでみているのですがそれでも追い付かず、ついに再来年の5月まで埋まってしまうという事態になってしまいました。なぜこんなに枠が無くなってしまうのかと、昨年1年間の新患枠希望人数を数えてみたら、なんと180人を超えていました。これでは追い付かないわけですよね・・・

手術も来夏希望だけで見ても軟骨移植の予約人数がすでに36人。単純計算で、形成外科で持っている手術枠が週2日、1か月8人程度が限界ですから、5月から9月の手術枠を全て使ってやっと全員の手術が終わる状況です。運よく休み時期に重なる方は、初診時期が相当早かった一部の人のみかと思います。

ということで、なにかとご迷惑をおかけしておりますが、目一杯努力しておりますので、ご理解いただけますようお願いいたします。

2018年12月25日火曜日

アジア巡業



 今年はとにかく私は当たり年で、久しぶりに研究予算として文科省の科研費が当たったのを皮切りに、講演依頼、学会のシンポジウムの依頼、教科書編集の依頼などなど、いろんな仕事が舞い込んできました。その中でも11月からのアジア巡業シリーズはきつかったです。人生史上一番忙しかったかもしれないです。
11/29-12/1のインドの国際熱傷学会に行くことは前から決まっていたのですが、日本形成外科学会から、台湾形成外科学会で講演をするよう要請があり、インドの日程と重なっているということでお断りしたところ、ではその代わりに韓国形成外科学会に行ってほしいとのことで、11/9-11と韓国に講演に行きました。さらに新たに12/1-3のアジア国際顎顔面外科学会から招へいがあったのですが、この講演日が12/1となっていて、やはりインドと重なっていたので、その旨お断りしたところ、12/3に講演日を変更すると言われてしまったのでそれ以上は断れず・・・
結局どういうスケジュールになったかというと、11/28にインドに向かい、12/1に講演。同日夜の飛行機で翌12/2に羽田着(インドから韓国直行便で行くと旅費が莫大になってしまうので、日本経由で韓国に向かうことになりました)。そのまま羽田から韓国へ。翌12/3に講演後すぐ空港に向かい、同日深夜に羽田着。韓国は1泊のみという国内学会以下の日程でした。羽田で一泊して(3時間しか寝る時間なかったです)、朝一の飛行機で札幌へ。まっすぐ病院に向かい、10時から外来開始。午後もしっかり3人の新患の診察をして、病棟処置、教室カンファ、とやりましたが、さすがにカンファの時は半分意識飛んでました。海外にいる間も返せるメールの返事は返していたのですが、病院を数日開けると大学や学会の仕事が大量に溜まってしまうので、その処理に今までかかってました。

インドと言えばカレーですよね。ということで一回だけ本場のカレーを食べてきました。

カレーレストランの入り口に、いかにも!という方がいたので写真を撮らせていただきました。

インドの土産を喜ぶ人はいなそうなので、自分用に象の守り神を購入。


 そして、このアジア巡業の3講演、勿論英語ですが、実は私史上初の、原稿なしでやりました!まあ日常英会話は全然だめなのですが、専門に関する英語はさすがに多少わかりますし、形成外科の発表はスライドを見ていると説明がへたでも何となくわかりますからね。で、結果何とかなったのですが、やはり上手下手、というよりも、やってみてわかった一番の価値は、説得力が増す、という点にありました。私は国内の発表でも昨年まではずっと原稿を作って読む形で発表をしていたのですが、今年に入ってから、一念発起、すべて原稿なしに転換してみたところ、発表が語り口調になるので、聞いている人により伝わりやすいということに気づきました。これは英語においても同じで、会場の人たちに対して、ただ話すのではなく伝えようとすることが大事だと、医師生活30年にしてようやく悟ったわけです。もちろん与えられた時間内に終わらないといけないので、結構練習が必要です。今回もせっかくの海外にもかかわらず、ほぼホテルに籠って練習していた感じでしたけどね。そしてもう一点、自分の言葉で発表すると、質問が来ても言葉が出てきやすいという利点もありました。普段話す機会がないと、知っている言葉も口からなかなか出て来ないですからね。まあ質問自体がよくわからずpardon?連発でしたが。目下の目標はアメリカで原稿なしで発表すること。アジアの学会は英語が得意でない医師も多いので、へたくそな英語でも許してくれますが、アメリカだと許してくれないですからね~・・・
ちなみに11/22-23には第2回耳介再建研究会を開催しました。昨年お越しになった先生たちに加え、新たに10人以上の医師の参加があり、非常に活気ある学会になりました。地道に続けることで、日本全体の耳介再建の実力がアップしていくと思っております。内容は研究会のHPにアップしていますので、是非ご覧ください。




2018年10月27日土曜日

人工中耳について ー追加ー


 その後確認をした内容を追記します。人工中耳(VSB)は現在両側難聴の方にはすでに保険適応になっており、手術も結構行われていますが、片側の方では保険適応になっていません。そこで今後の保険適応を目指し、信州大学の耳鼻科教授が臨床研究として申請し、協力施設として国際医療福祉大と共同で数人程度(各施設で2,3人程度)の治験を行うということだそうです。治験は自己負担はあまりかからないのですが、人数に達すると終了となります。機器の準備と予算的な問題がクリアできれば多少の人数オーバーは可能かもしれないとはおっしゃってました。

 信州大の教授は元々人工内耳の実績と技術では国内トップクラスで、現在人工中耳においてもリーダー的な立場の方です。確実性の高い聴力改善としては、外耳道形成よりもBAHAか人工中耳か、という選択になると思いますが、BAHAに比べても術後のトラブルの少なさと音域の広さという点では人工中耳に分があるような印象を持っています。私も知識を深めるため、今月末にメドエル(人工中耳の会社)とお会いして詳細をお聞きしようと思っております。

 厚労省が重い腰をあげて保険適応の認可を下すのはかなり先のことになると思うので、片側の方で積極的に聴力改善を目指したい方にはよいチャンスかと思います。三田病院の方ではすでに1人行っており、候補者もいるようなので、今の時点では信州の方がまだ手術を受けられる可能性が高いかもしれません。信州を受診できる地域の方は、ご一報いただければご紹介します。両側の方は保険適応ですので、治験と関係なく対応いただけると思います。


2018年10月24日水曜日

小耳症に対する聴力の今後の展望


北海道の地震については色々とご心配いただき有難うございました。ただ、その2日後には実は信州に行っていたのです。本当は前日に行く予定だったのですが、地震日にやれなくなった手術を翌日に振り替えでやったので、とんぼ返りの日程に変更せざるを得なくなったのでした。このころ北海道はまだコンビニがほとんど機能していなかったので、帰りに松本市のコンビニで種々買い込んで飛行機に乗りこみました。


信州訪問の目的は聴覚と耳介形成の研究会への出席でした。信州大の耳鼻咽喉科、形成外科の教授、国際医療福祉大の耳鼻咽喉科の教授などが集まって意見交換をしようというものでした。私は形成外科の立場からの小耳症について講演したのですが、耳鼻科医にとって私の話は知らないことが多々あったと思います。耳鼻科は今の耳介形成のレベルをあまり認識できていなかったことがよくわかりました。私も耳鼻科の最近の知見や考え方で知らないことが多々あったので、大いに価値のある会になったと思います。これまでこうやって耳鼻科医と向き合ってしっかり話をする機会が今までなかったことにある意味驚きと反省・・・




今後定期的に集まって、小耳症の子たちに、聴力に関しての具体的な流れをきちんと体系立てて提示できるようにしていこうという話になりました。すぐにそれが纏まるものではないのですが、これはしなければならないことですよね。

小耳症の聴力というと、外耳道形成、鼓室形成の有無についてばかりが取沙汰されますが、今機器の発展はなかなか目覚ましいものがあり、それらを上手に選択していくことが得策ではないかというように思います。

小耳症に対して聴力を得る手段としては、

  1. 骨伝導補聴器(いわゆる従来のカチューシャ型)
  2. 軟骨伝導補聴器(耳かけ式)
  3. 外耳道、鼓室形成(手術により外耳道構造を獲得しようとするもの)
  4. BAHA(手術要)
  5. 人工中耳(手術要)

などがあげられますが、耳鼻科医と話していてわかったことは、実は耳鼻科自体の中でも統一見解が全然ないのですよ。例えば3.をやっている人はそれ押しで勧めてきますし、2.なんかも一大学での開発なので、他の大学ではあまり高い意識でとらえられていないですし。それぞれの施設でそれぞれ力を入れているものを強く推すので、結局どういう状況で何がベストなのか、実ははっきりしていないのです。

また、2. 5.に関しては最近新たに選択肢に加わってきたものですので、各々の利点欠点を含めて公平にジャッジして提示する必要性があります。本来耳鼻科医が主導で考えなければいけないことではあるのですが、耳介形成も前提として、種々の手段のタイミングや治療の流れを作っていくことが必要ですから、我々も大いに参加して意見を入れていかないといけないと思いました。何より我々は企業との直接の利害関係がないので、もっとも患者目線で公平にジャッジできる立場ですからね。


ちなみに、国際医療福祉大学三田病院の岩崎教授、野口教授は今人工中耳に力を入れており、これは音域がかなり良さそうです。欧米ではすでにかなり普及しているようで、今後の主流になってくるような気がします。人工中耳は国内ではこの施設が最も多く手掛けています。小耳症では内耳は通常きちんと形成されているので、内耳まで音を入れてあげることでかなり聞こえるはずです。手術で中耳に直接端子を付けるので、振動の不快感が少なく、音を内耳に伝達しやすいこと、皮膚の上から(耳の後ろ、やや上)磁石で装置を装着するものなのでBAHAのような皮膚トラブルがない、BAHAの年齢制限の15歳以上での手術より低年齢でも可能であることなどが利点です。
欠点としてはBAHAに比べ手術の難易度が高い(彼らはこれまで同様な装置の人工内耳を多数やっているので技術的には問題ないと思います)、我々と連携していない耳鼻科医がやると耳を作る時に迷惑な皮膚切開線ができてしまう、耳を作る前にこれをやると耳を作る時の難易度も増す(これは私の方で何とかします)、強い衝撃があると中耳の端子が外れてしまう可能性、磁石で皮膚に圧迫がかかることなどでしょうか。現在治験を行っているそうで、来年3月までにエントリーすれば、恐らくあまり費用が掛からず治療が受けられるのではないかと思います。私のところを受診された方で、直接話を聞いてみたい、という方がいらっしゃいましたら、紹介状書きますので遠慮なくご連絡いただければと思います。

松本市の保存された街並み

松本城は美しい!