2025年10月14日火曜日

付き添いの対応について(大学) 2025/10/14より

 

大学での付き添いに関し、本日付で、若干ですが緩和されましたので、以下をご一読の上、対応お願いいたします。主な変更点としては、ご家族が勉強の面倒を見る時間を1時間設けたことです。勿論義務ではなく、希望者がいれば、ということです。さすがに丸ごと遊び倒している状態を心配されているご家族もいらっしゃると思いますので、師長と相談して、このような時間を設定していただきました。また、時間制限はありますが、手術当日は、ご両親2名でお越しの方は、2名とも面会できるようになりました。

一方、スタバやコンビニで、こっそり会っている方がしばしば目撃されています。面会時間の設定は、意地悪をしているわけではなく、当然ご理解はされていると思いますが、外部で生活されている方は、種々の菌を持ち込む可能性があり、患者と接する時間には制限が必要です。一旦病棟内にインフルエンザ、コロナ等が入り込むと、本人は勿論病棟内の全員が迷惑をすることになります。へたすると病棟閉鎖、入院受け入れの中断、という事態を引き起こし、さらに多くの方に迷惑をかけることになります。問題なく傷を治して帰る、ということを唯一最大の目的としてお越しになっているわけですから、自分だけ、ちょっとだけ、という意識は捨ててください。

可能な範囲で緩和はしましたが、問題が起こればまた厳しくせざるを得なくなりますので、ご協力の程お願いいたします。12月までの手術予定の方には入院案内をすでに送っておりますが、変更でお願いいたします。中央病院に関しては、現状と変わりません。


小耳症の患者さんの面会について

 

当院の面会は、現在、予約制(1316時の間で30分以内、所定の場所)で実施しています。面会のご希望がある場合は、看護師にお申し出ください。小耳症の患者さんの面会に関しては、小児ということ、勉学も必要なことを踏まえて、面会のルールを一部緩和しております。そのため、以下をご一読いただき、ご理解、ご協力をお願いします。

 

【基本事項】 

手指消毒を行い、マスクを着用しての面会をお願いします。また、お子さんもマスクの着用をお願いします。

(お互いがマスクを着用して会話をしても、新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者にあたりません。感染症発生時には、手術や入院の中止、他患者への影響も考えられますので、十分ご注意ください。)

*入院中必要な分のマスクは準備していただき、入院をお願いいたします。(病院の売店でも購入可能です)

・小学生以下のお子さんを連れて来なければならない場合にもその旨を看護師にお申し出ください

・デイルーム、処置室前でのご家族同士の会話はお控えください。

・正面玄関、スターバックス、コンビニ、イートインコーナー等での面会は禁止しています。指定時間、指定場所以外での面会はしませんようご協力をお願いします。

・面会時は問診票の記載が必要となります。入院時にお渡しする問診票に記載し、面会の度に持参し、看護師にお渡しください。

・面会時間外に、お荷物等のお渡しがある場合は、看護師にお声かけください。

 

【入院日】 ★マスク着用をお願いします★ 

・入院日より遡って5日以内に、患者さん・同居家族が、発熱や上気道炎症状、および味覚嗅覚障害のような新型コロナウイルス感染症を想起するような諸症状がある場合、また、そのような症状の方と8日以内に濃厚接触した場合は、来院せずに、下記にご連絡ください。

・入院当日の朝、必ず体温測定をお願いします。体温37度以上の発熱の場合は来院せずに下記にご連絡ください。

1階入退院受付で手続きを行い、病棟にお越しください。

・ご家族は、荷物搬入等で短時間病室内に入ることができます。時間内に荷物整理をお願いします。その後は、デイルームでお待ちください。

・今後の予定(手術の説明等)に関しては、医師や看護師にご確認ください。待機を要する場合は、病室ではなく、デイルームでお願いします。

 

連絡先:札幌医科大学附属病院  📞 0116112111 【南7階病棟】までご連絡ください。


【手術当日】 ★マスク着用をお願いします★          

・手術予定時間の2時間程度前からご来院することが可能です。(朝一番の手術時は8時頃にご来院ください)

・手術前は、病室内で待機可能ですが、同室者がいる場合は、カーテン内でお過ごしください。

・手術中は、必ず連絡が取れるようにして近隣で待機いただき、手術終了が予想される時間になったらデイルームにお越しください。

・手術後は、帰室後3時間まで病室への入室が可能です。2名で面会を希望する際は、2名同時に病室に入室してかまいませんが、1名は3時間、1名は30分以内でお願いします。

・小耳症のプチ手術の場合は、上記に該当しませんので、ご了承ください。

 

【手術翌日―手術後3日目まで】  ★マスク着用をお願いします★    

・手術後の面会については、手術日を0日として計算します。

・面会時間は、1316時の間で2時間以内です。

・ただし、耳処置がある場合(処置室前のホワイトボードに処置時間が記載しています)は、処置に合わせてお越しいただき、処置の時間も含めての面会でお願いします。面会時間は病室のカーテン内で2時間可能ですが、2名での面会を希望する際はもう1名は30分以内でお願いします。

 

【手術後4日目以降】  ★マスク着用をお願いします★  

・処置室前のホワイトボードに処置時間が記載されている場合は、処置室での立ち会いが可能です。

・耳処置の時間は、処置室前のホワイトボードに記載しておりますので、各自ご確認ください。

・耳処置で来院した際は、デイルームで待機し、順番に呼ばれますので、お待ちください。

・処置室での立ち会いがない日の面会を希望する際は、1316時の間で予約をお取りください。

・耳処置の時間にこられない日の面会を希望する際は、1316時の間で予約をお取りください。

・面会は、11回(処置に立ち会う場合は、処置後から)30分までとしてください。

(処置の立ち会いと面会は、2人まで可能です。)

 

 

【勉強の付き添い】  ★マスク着用をお願いします★  *希望者のみです   

・入院中勉強の見守りを目的とした場合は保護者の方、1名が111時間の付き添いが可能となります。

(別時間で30分の面会も可能です)

◆約束事◆

・付き添い中は保護者の方、お子さんどちらも必ずマスクを着用してください。飲食も禁止です。

・勉強が目的のため、不必要な会話や遊ぶなどの様子があった場合にはその後の勉強のための面会は禁止とします。

・勉強場所は別室となり、席数が限られるので10時~12時、13時~17時の間で予約制となります。

予約は付き添い希望当日にとってください。勉強場所にホワイトボードを掲示しておりますので、ご希望の時間帯にお名前を記載してください。勉強終了時には予約した名前を消してください。

*予約状況によってはご希望の時間でのご案内ができないこともありますので、ご了承ください。

・別室が、医師の説明等で使用される場合は、自室での学習をしていただきます。

・問診票は、1日1枚とし、面会時間のところに、面会と学習見守り時間の記載をして、看護師へお渡しください。

【その他】                                                                             

・来院当日は、必ず毎朝体温測定をお願いします。

・病棟内に入る際には問診票の確認と検温をしますので、必ずナースステーションにお声がけください。

・看護室窓口で入院時にお渡しする問診票の提出をお願いします。問診票は面会毎に記載し、ご持参をお願いいたします。

・判断に迷う場合には、看護師にご相談ください。

・面会に関する情報が変わる際は、四ッ柳医師のブログで随時報告いたしますので、確認をお願いします。

 

例)

入院日

入院翌日~手術前日

手術日

手術1日目

手術2日目

手術3日目

手術4日目

荷物整理

病室に短時間入れる

 

レントゲン

心電図

採血

採尿

 

 

デイルームで30分面会、また勉強目的に1時間付き添いOK

 

 

手術の終了時間が、面会時間(1316時)を過ぎていた場合は、最大21時までとなります。例えば17時に帰室した場合は、20時までの面会となります。

 

 


手術後

病室で

3時間面会OK

耳処置の立ち合いがある場合:

処置時間を含めて病室で2時間OK

・耳処置の立ち合い無い場合:

13時~16時の間、病室で2時間OK

 

 

 

・耳処置の立ち合いがある場合:

処置時間含めてデイルームで30OK

・耳処置の立ち合いが無い場合:

 デイルームで13時~16時の間で30OK

・勉強の付き添い:

別室で10時~12時、13時~16時の間で1時間OK

 

麻酔科、耳鼻科受診

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2025年7月19日土曜日

シンポジウムの様子

 実際の講演時の風景、写真を送っていただいたのですが、なかなか見る機会がないと思うので、追加で写真載せます。



講演をしているところ
招待者講演が終了後の合同質疑応答
休憩時間に質問攻めにあって四苦八苦しているところ
表彰後に記念撮影

どうでしょう?臨場感伝わりますでしょうか?余裕で笑顔で話していたつもりですが、こうやってみるとめっちゃ顔がこわばっているのがわかってしまいます。


2025年7月17日木曜日

ソウルに行ってました

 

今回ソウル大学から招待され、Pioneering ear reconstruction and advances in aesthetic and facial surgery というシンポジウムで講演をしてきました。30分の英語での講演・・・なかなかきつかったです。

千歳からの直行便もあったのですが、時間的な都合が合わなかったので、7/10、手術を終えた後、晩の飛行機で羽田へ移動。ご記憶の方も多いと思いますが、この時東京では激しい雷雨の日。羽田空港には降りたものの、1時間飛行機内で待機。着いたら晩御飯にどっか居酒屋へ~と目論んでいたのですが、翌朝早いことを考えるとそんな時間はなくなり、慌ただしく空港内のレストランでビールとから揚げで食事を済ませて空港近くのホテルにチェックイン!速攻で就寝。

翌朝7/115時に起きて空港へ。金浦空港まではほんの2時間20分なので、海外気分を味わうこともなくあっという間に到着です。ビップ待遇でタクシーが迎えに来てくれていたので、楽々ホテルにチェックイン。ただし、その日は招待者とのディナー!伝統の韓国料理を味わう気持ちの余裕もなく緊張の英会話で心身ともに疲れてホテルでダウン。

左が招待してくれたソウル大学Chang Hak教授、中央がDr Guichard
台湾のDr Chun-Yuとシンポジウム会場にて


7/12
がシンポジウムで、4人の医師が講演をしました。一人は韓国のサムソン病院で長いこと耳の再建をやってきたというおじいちゃん先生のDr Hak Chang、次は台湾のチャンガン病院で耳の再建をやっているDr Chun-Yu Tuが、メドポア(人工物)を使った耳介再建についての講演、次は私で、この数年で進化させてきた術式の紹介。最後はパリで、耳介再建で有名なFirmin女医が退官後の後継者のDr Stephane Guichard。講演も質問も勿論英語です。私の講演に関しては大いに興味を持っていただき、相当な数の質問が乱れ飛んで、四苦八苦しながら何とか私の経験と考え方をお伝えした次第です。同日は、一日丸ごとシンポジウムだったのですが、耳のセッションは午前のみで、午後からは韓国語での講演だったので、先に退室させていただいて、ちょっとだけ散策。ホテルから明洞まで歩いて20分程度だったのですが、実はソウルも灼熱の34度という状況だったので、少し歩いて雰囲気だけ味わって退散。夜は焼き肉を食べて終了。7/13朝に迎えのタクシーですぐ金浦空港へ。同日晩に無事札幌に到着しました。シンポジウムの前後の日にあちらの先生が招待者用にツアーを企画してくれていたのですが、私は全部パスしての弾丸ツアーとなりました。

明洞の風景

散歩で通りかかった伝統的な住居群

シンポジウムに参加してわかったことその一:意外と私の名前が知られていたのにびっくりでした。他の招待者たちも昨年のトロントの学会に出ていたそうで、お世辞かどうかわかりませんが、その時に私の結果を見て、ナンバー1だと思っていてくれていたそうです。第二:少し前までは、BrentFirminNagataPark、とビッグネームがいたのですが、それらの方々が皆さん退官、逝去、などでいなくなってしまい、その次世代でのビックネームがなく、欧米を含め、多くの患者を一手に治療している医師が、今世界的にもあまりいないそうで、実は私がもしかしたら世界で最も多くの治療を行っている医師かもしれないという、少々衝撃的な指摘がありました。このような世界情勢は実際に海外の先生と直接触れ合ってみないとなかなかわからないものです。
ソウル大学病院内:日本と大差ないです


で、今回は、トロントでの反省を踏まえ、2か月前から英会話テープを毎日聞いて、講演も原稿なしで話せるよう特訓し、私の歴史上もっとも英語を仕上げて行ったわけですが、多少やりとりできるようになっただけ、成果はあったかもとは思いますが、やはり何を言っているかわからない場面も多々あり、返答もせいぜい中学生レベルかな・・・という感じで。これからもちゃんと英語のトレーニングを続けて行けばもう少しましになるのかもしれませんが、なかなかそうも行かないもので、また海外発表等の機会があると、慌てて一からスタート、になってしまうのが悲しいところです。この年になると何よりヒアリングが最も苦手で、今更なかなか英語耳にはなれないのです。小さいうちから英語耳になっておくことをお勧めします。

2025年5月14日水曜日

春の形成外科学会

 

毎年春に、日本形成外科学会総会、という形成外科で最も大きな学会が行われます。これは主に臨床系の学会で、秋には基礎学会という研究系の学会があります。少々ここに出すのが遅くなってしまったのですが、今年は 4/16-18に東京、ホテルニューオータニで開催されました。私は小耳症の演題を2つ、他にうちの施設から2つと、計4つの演題を発表しました。また、今年は山田朗先生(前にトロントの学会で書いた先生です)が、海外招聘講演に招かれ、私はその座長をすることになったので、久しぶりに山田先生ともお会いしました。山田先生も小耳症に特化して治療しているわけではなく、先天性疾患全般の治療をされているようで、大変だなあ~という感じでした。

学会の内容としてトピックスはあまりなかったのですが、顔面移植のセッションは割と面白かったです。まだ日本では行われていない顔面移植・・・要は顔面の大部分を損傷した人に、他人の顔を丸ごと移植する、というもので、しばしばニュースなどでも取り上げられているので、目にした方もいると思います。素人目には、ついに医療もそこまで来たか、と思わせるものですが、腎臓などと違い、拒絶反応の強い他人の皮膚や筋肉などを移植した場合、拒絶反応を抑えるために、相当に強い免疫抑制剤を、移植されている限り続ける必要があり、治療を受けた大部分の人が、腎臓障害、感染、悪性腫瘍の併発、継続的な免疫抑制剤投与に対するストレスによる自殺、など、かなり悲惨な末路を迎えていることまでは知られていないと思います。そこまで踏み込んで報道されることはなく、マスコミの報道がいかに偏っているか良くわかる事例だなと思います。

ちなみに前回メッセージで書いた教科書ですが、この学会で始めて書店に並ぶことになりました。誰も買ってくれないと悲しいところなので、売れ行きが少々気にはなったのですが、私よりも、全日本出版会の社長と本書担当の方が販売ブースからちょっと離れたところで、心配そうに並んで立っていて、あ、本持った!あ、売れた!と盛り上がっていたので笑ってしまいました。おかげさまで、好調な売れ行きで少々安堵した次第です。

宿は近くに取ったのですが、今東京のホテルは値段が高すぎです!かなり探して良心的な額のホテルを見つけたのでまだ良かったのですが、ホテルとの往復はアップダウンが激しくて消耗しました。東京って、意外と坂が多いんですね。そして、私の学会中の唯一の楽しみは朝の散歩です。毎度これを書くと、遊びに行ってるんじゃないかと思われてしまいがちですが、決してそんなことはなく、日中は、学会場で専門医更新のための単位の取得に励んでおりますので。通常知らない街だと散歩もテンション爆上がりなのですが、東京は、散歩には不向きなところなので、あまりテンションがあがりません。だからと言って、していないということでは勿論ないので、初日は国会議事堂、TBS、など赤坂界隈、翌日は皇居を1周(走ってないです。散歩です)、さらに翌日は市谷から新宿方面に向かって住宅街を抜けて、四谷の方に戻る、という感じで、早起きをして1~2時間程度かけてぶらぶらする、という感じです。場所柄的に警備している警官の前を多数通り過ぎましたが、愛想がなさすぎてちょっと良くないなと思いました。愛想を振りまく必要はないのですが、おはようの一言もなく、ただ、じっと見つめてくるのは、過去に職質を何度も受けた立場としては、あまり感じが良くないです。人にもよりますが、札幌でアメリカ領事館前に立っている警官はちゃんとおはようございます、と挨拶してくれます。

そして、ニューオータニと言えば、ホットケーキ!ということで、前からなかなかチャンスがなかったのですが、今回は、ついに念願のホットケーキでランチしました。一人スーツ姿でホットケーキ食べている姿は人にはあまり見せられないですね・・・。味としては、ホットケーキ以上でも以下でもなかった、というところでしょうか。

2025年4月30日水曜日

入院期間について(7月手術予定の方へ)

 

7月手術予定の方にお知らせです。入院案内の方すでに送ってしまったのですが、入院期間のところに一か所誤りがあります。退院後3日程度の通院が必要と記載されているのですが、通院は不要で、手術日より3週間の入院のみ(勿論傷の治りが遅れる方もいるのでぴったりこの期間で帰れるかどうかは経過次第ですが)となります。退院したらすぐに帰宅いただいて結構です。

一時期病院の改修でベッド数が減らされていた時期があったため、早めに退院+通院という形でお願いしていたのですが、病棟の改修が終わり、ベッド数が戻ったので、通院不要に戻っております。書類を直すのを忘れてましたので、お詫びして訂正させていただきます。

2025年4月19日土曜日

(耳ではないですが)教科書を書きました

  メッセージの期間が空いてしまいましたが、さぼっていたというよりは、本気で忙しくて首が回らない状態が続いていました。何が忙しいか説明するも大変なくらい仕事が多く忙殺され続けています。しかし、この状態から脱出できる時が来るとも思えず、ここに書くのも大事な仕事だと奮起して、少々書いていこうと思います。

              そして、この度単著で初めての教科書を発刊しました!

       タイトルは“局所皮弁塾!

 通常教科書の執筆では、教室員を使ったゴーストライターに頼る方も少なからずいるかと思うのですが、本著は全て自身の手で書き上げました。これまでも依頼で教科書の一部のパートを執筆したりすることは多々ありましたが、教科書に時間をかけるくらいなら他にやらないといけないことが一杯ある!という理由で単著での執筆は考えたことがありませんでした。今回の件は、数年前に、全日本病院出版会の方から、前に私が書いた依頼論文が、カンファレンスでやっているような書き方で非常に面白かったので、教科書として纏めてみませんか?とお声がけをいただいたところから始まりました。

実は、まぶた、鼻、口、耳、などに対する私が開発した顔面組織再建の術式は相当数あって、国内でもトップクラスかと思います。鼻や口の術式は海外でもスタンダードに行われたりしていて、Yotsuyanagy’s flapflap=皮弁のこと)と、なぜか微妙にスペルが変わって定着したりしています。そういう術式や考え方を人に教える機会もいずれ作っていかないとな~と思っていたこともあり、じゃあやってみますか!と割と気軽な気持ちで返事をしたのですが、実際に始めてみたら、この忙しい中でそれを進めるのはなかなかにしんどく、結局2年で終わらせる予定が5年かかってしまったという経緯です。今年の前半はこの校正作業だけでもかなりの時間を要しました。表紙を赤くしたのは、”塾”と名前が付くからには、大学受験の赤本のイメージかなと思ったからです。

内容的には、皆様にとっては何のことやら?という感じかもしれません。ここをご覧になっている方は、小耳症で調べてたどり着いた方が殆どだと思いますので、小耳症=形成外科 は知っていても、形成外科が何をしているのか?についてはあまりピンと来ていない方が意外と多いのではないでしょうか。

形成外科とは、主に体表面の欠損や変形を修復する外科で、形成外科医は、組織移植を始めとする再建外科のエキスパートの集団です。例えば体の他の部位から組織を取ってきて、顕微鏡を使って1mm程度の血管同士を吻合して、移植する技術なんかも持っています。顔面外傷ややけどの治療、乳癌切除後の乳房再建、皮膚がんやあざの治療、顔面神経麻痺、皮膚の潰瘍、リンパ浮腫、口唇裂や多指症などの先天性疾患の治療などなど、形成外科の領域は多岐にわたります。

私は特に顔面の組織欠損の治療、をライフワークとして来ました。直接縫合できない範囲の顔の組織欠損に対し、近隣の余裕のある部分の皮膚や脂肪を、血流を維持したまま移動して、目や鼻が引っ張られたりしないように、そして傷跡が綺麗になるように治す代表的な術式が局所皮弁というものです。小耳症において、小さな耳を良い位置に移動して耳たぶにするのも、局所皮弁の一つです。一つの皮膚の欠損を修復するための局所皮弁の術式は多数あって、そのどれを選択するか、また患者に合わせてどのようにアレンジするか、が術者の腕の見せ所となるわけです。その考え方についての私の経験や、開発した術式を含め、代表症例を提示し、239ページのボリュームとなりました。ちなみに私は陰茎の再建もしますので、よく、子供たちに、ちんちん取ってこっちにくっ付けるぞ!としょうもない脅しをかけていますが、やろうと思えば本当にできるわけです(最近は、子供から下ネタか!とか、セクハラ~!と逆に厳しい突っ込みを受けることもあり・・・なかなか厳しい世の中になってきました)。

価格は12100円とお高めですが、医学書としては、この文量であれば、かなり良心的な金額ではないかと思います(出版社の方が頑張ってくれました)。勿論これを皆さんに買ってくださいと言っているわけではないですが、形成外科がどんなことをしているのか、そのイメージが理解いただけるかと思いますので、もし書店等にあった場合には、ちょっと覗いてみてください。隙間にちょっとした小話も書いてます。よく、先生は耳の手術しかしてないんでしょ?と言われますが、そんなわけはなく、小耳症は形成外科の中のほんの一部の領域なのです。

 ちなみに耳の教科書に関しても、今構想を進めている段階で、2年後位での発刊を目指しております。これは単著ではなく、耳介再建学会に出席されている先生たちにも分担いただき、また耳鼻科の先生などにも聴力関係の知識を書いていただく予定です。勿論形成外科医や耳鼻科医が対象となりますが、小耳症の項に関しては責任をもって私が書く予定で、手術後の創管理や合併症、注意事項、などの項を充実させて、患者の皆様にも役にたつ内容になることを目標としています。完成までにはまだまだ時間がかかりますが(と言うか、まだ始めてもいませんが)、楽しみにしていただければと思います。